ダンスでリズム感がない人の特徴!共通するクセと改善ポイントを解説

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ダンスを始めると、多くの人が最初にぶつかるのが「自分はリズム感がないのでは」という不安です。
レッスンで周りより一拍遅れる、音をよく聞いているつもりなのに振りがズレる、先生に「もっと音を聞いて」と言われて落ち込む…。
実は、いわゆるリズム感の有無には、はっきりした共通の特徴と原因があります。
そして、それらの多くはトレーニングと意識で十分に改善できます。
この記事では、ジャズやヒップホップ、ハウス、ロッキン、タップなどジャンル横断で指導してきた視点から、「リズム感がない人」の具体的な特徴と、今日からできる改善方法を整理して解説します。

目次

ダンス リズム感ない人 特徴をまず整理しよう

ダンスでリズム感がないと感じる人には、いくつかのはっきりした共通点があります。
リズム感というと、生まれつきの才能のように思われがちですが、実際には「音の聞き方」「身体の使い方」「頭での処理の仕方」の組み合わせによって決まる要素がほとんどです。
つまり、特徴を正しく理解できれば、どこから直せばよいかが明確になります。
ここでは、ジャンルを問わず多くのダンサーを見てきた経験と、音楽教育・スポーツ科学の知見を踏まえながら、ダンスにおけるリズム感の基本構造と、「ないように見える」人の典型パターンを整理します。

リズム感がないと感じる人の多くは、ビートそのものが聞こえていないわけではありません。
多くの場合、「どの音を基準に動くのか」「身体がそのタイミングに間に合うのか」「緊張や不安で動きが固まっていないか」といった、複数の要素が絡み合っています。
自分がどのタイプに当てはまるのかを把握することが、効率よく上達するための最初の一歩です。

リズム感がないと感じる人に共通するパターン

「リズム感がない」と自己評価する人には、いくつか代表的なパターンがあります。
一つ目は、音は聞こえているのに常にワンテンポ遅れるパターンです。これは頭で振りを考え過ぎて、音よりも「次の動きは何か」を優先してしまうことで発生します。
二つ目は、テンポが変わると急に崩れるパターンです。バラードでは合わせられるのに、アップテンポのヒップホップやハウスになると急にズレる場合は、体の反応速度とステップの基礎が追いついていない可能性があります。

三つ目は、曲中でタイミングがバラバラになるパターンです。イントロはぴったり合うのに、サビになると急に走ったり遅れたりする人は、曲全体のカウント構造を理解できていないケースが多いです。
こうしたパターンはいずれも、単純な「センス不足」ではなく、練習法と意識の問題です。自分がどのパターンに近いかを把握することで、どこを重点的に鍛えるべきかが見えてきます。

生まれつきの才能ではなくスキルである理由

最新の音楽心理学やスポーツ科学の研究では、リズム感の多くは後天的に発達するスキルだとされています。
幼少期から音楽やダンスに触れてきた人は、耳と身体が自然と連携する経験値が高く、その結果としてリズム感が良く見える傾向があります。
一方で、大人になってからダンスを始めた人は、音楽を聞く機会はあっても「身体を音に合わせて動かす」経験が少なく、最初は難しく感じやすいだけです。
つまり、「今ダメなら一生ダメ」ということではありません。

実際、レッスン現場では、最初は全く音に合わなかった大人の初心者が、半年から一年程度の継続したトレーニングで見違えるように変わる例は珍しくありません。
特に、ジャズダンスやジャズコンテンポラリーのように音楽表現が複雑なジャンルでも、基礎のリズムトレーニングを積めば、後からでも十分対応できます。
リズム感を「筋トレと同じく鍛えられるもの」と捉え直すことが、メンタル面でも重要です。

ジャンル別に見たリズム感の要求レベル

ダンスとひとことで言っても、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、ロッキン、タップなど、ジャンルごとにリズムへの要求は異なります。
タップやロッキン、ハウスは特にビートの取り方やグルーヴの細かさが重視されるため、「リズム感がない」と感じやすいジャンルです。
一方、ジャズやジャズコンテンポラリーは、メロディやフレーズ感を重視する場面も多く、「カウントより音楽の流れ」で捉えることも求められます。

下の表は、主なジャンルとリズムの特徴をざっくり比較したものです。
この違いを知っておくと、自分がなぜあるジャンルで苦戦するのかを客観的に理解しやすくなります。

ジャンル リズムの特徴 リズム感に関する主な難しさ
ヒップホップ ビート重視、裏拍やスイングも多い 音の抜き差し、ノリの出し方
ハウス 速めの4つ打ち、フロア系のグルーヴ 持久力と細かいステップの同期
ロッキン キメが多い、音ハメ重視 瞬発力とキレを音に合わせること
ジャズ メロディとカウント両方を使う フレーズ感と拍の意識の両立
タップ 音を出す側としてのリズム 足さばきと音の正確性

リズム感がない人に見られる身体的な特徴

リズム感がないと感じる原因の多くは、耳よりもむしろ身体の使い方にあります。
音をしっかり聞けていても、体が硬かったり、重心がぶれていたり、必要な筋力や可動域が不足していると、タイミング良く動くことが難しくなります。
これは、トップダンサーでも基礎トレーニングを重視する大きな理由です。
ここでは、レッスン現場でよく見られる「リズムが取りづらくなる身体的特徴」を整理し、自分の体の状態をチェックできるようにしていきます。

重要なのは、「リズム感が悪い=センスがない」ではなく、「リズムに合う身体環境が整っていないだけ」と捉え直すことです。
姿勢、重心、関節の柔軟性、インナーマッスルの働き方など、どこにボトルネックがあるかを知ることで、改善のためのトレーニングが明確になります。

重心が高く、身体が常に浮いている

リズムが取りづらい人に最も多いのが、重心が上にありすぎる状態です。
膝がほとんど曲がらず、常に背伸びしているような姿勢で踊ると、ビートに対して着地のタイミングが合いにくくなります。
特にヒップホップやハウスでは、膝と股関節をしっかり曲げて重心を落とすことで、ビートに「乗る」感覚が生まれます。
重心が高いままだと、動きがふわふわし、結果として音に対して遅れたり走ったりしやすくなります。

鏡の前でリズムを取る際に、自分の頭や肩の高さが上下に大きくブレていないかを確認してみてください。
理想は、膝を軽く曲げて骨盤を少し落とし、上半身はリラックスした状態で一定の高さをキープできていることです。
この「構え」ができるようになるだけでも、ビートを捉えやすくなり、他のステップも安定してきます。

上半身に力が入りすぎている

リズムが合わない人は、緊張から肩や首、腕に力が入りすぎていることが多いです。
上半身が固まると、下半身の動きが連動しにくくなり、ステップが小さく固くなります。
その結果、音の変化に対して素早く反応できない状態になり、ワンテンポ遅れる、または動きが途中で止まってしまうといった現象が起きます。
特にジャズやジャズコンテンポラリーでは、表現しようとして顔や腕に力が入りすぎることで、逆にリズムが崩れるケースがよく見られます。

改善の第一歩は、「上半身は乗り物、エンジンは下半身」と意識することです。
立った状態で肩を数回大きく回したり、首をゆっくりほぐしたりしてから、足だけでリズムを取る練習を行うと、力みを自覚しやすくなります。
最終的には、上半身はしなやかで余裕があり、下半身がビートを刻むという役割分担を作るのが理想です。

可動域が狭く、ステップが小さくなりがち

股関節や足首の可動域が狭いと、ステップがどうしても小さくなり、リズムのうねりを体で表現しづらくなります。
例えばハウスのフットワークやロッキンのキックなどでは、一定の可動域がないと、音の強弱やアクセントを身体で表現すること自体が難しくなります。
リズム感がないと感じている人の中には、本当は耳ではビートを捉えているのに、脚や足首がついていけずにズレているだけのケースも多く存在します。

日常的に柔軟性トレーニングを取り入れ、股関節、ハムストリング、ふくらはぎ、足首をほぐしておくことは、単に怪我予防になるだけでなく、リズムに乗りやすい身体づくりにも直結します。
特にタップダンスでは足首の柔らかさが音のキレに直結するため、可動域の改善とリズム感の向上は切り離せない関係にあります。

音の聞き方に表れるリズム感の特徴

リズム感を語る上で、身体と同じくらい重要なのが「音の聞き方」です。
同じ曲を聞いていても、どの音を基準に捉えるか、ビートとメロディのどちらを優先しているかによって、ダンスの質は大きく変わります。
リズム感がないと感じる人は、多くの場合「音楽は好きだけれど、ダンス用の聞き方に切り替えられていない」状態です。
ここでは、レッスン現場で頻繁に見られる聞き方のクセと、その改善の方向性を整理します。

ダンスにおける音の聞き方は、単にリズムを感じるだけでなく、「カウント」「拍子」「アクセント」「フレーズ」といった複数の層を同時に捉えることが求められます。
最初からすべてを完璧に行う必要はありませんが、自分がどの層まで聞けているのかを把握することは、ステップアップの大きな助けになります。

ドラムやベースのビートを拾えていない

リズム感に不安がある人の多くは、ボーカルやメロディばかりを追ってしまい、ドラムやベースのビートをしっかり聞けていません。
ヒップホップやハウス、ロッキン、タップなどの多くのジャンルでは、キックドラム、スネア、ハイハット、ベースラインが、ダンサーにとっての「道しるべ」になります。
これらを意識せずに振り付けを追うと、曲のどこにいるのかを見失いやすく、結果としてリズムがぶれます。

改善のためには、ダンスをせずに音楽だけを聴く時間を取り、「今はドラムだけに集中する」「次の一曲はベースだけを聞く」といった聞き方のトレーニングを行うことが有効です。
慣れてくると、自然にビートの芯が聞こえるようになり、ステップを合わせるターゲットが明確になります。

カウントと音楽のズレを認識できていない

レッスンではよく「5・6・7・8」とカウントを取りながら踊りますが、実際の音楽は必ずしも単純な8カウントで構成されているわけではありません。
イントロやブレイクで小節構成が変化したり、シンコペーションが多用されたりする曲も多く、その変化に気づけないと、いつの間にかカウントと音楽がずれてしまいます。
リズム感がないと感じる人の中には、この「カウントと実際の音の位置関係」を把握できていないケースが少なくありません。

まずは、シンプルな4つ打ちの曲で、メトロノームや手拍子と一緒に8カウントを数える練習を繰り返すことが重要です。
慣れてきたら、スネアが鳴る位置が「2と4」になっているか、「3だけ強い」ような変則的なパターンなのかを聞き分けられるようになると、複雑な曲でも迷わなくなります。

裏拍やスイングが苦手でノリが出ない

ヒップホップ、ハウス、ジャズの多くのスタイルでは、裏拍やスイングのニュアンスが重要です。
しかし、リズム感がないと感じる人の多くは、「1・2・3・4」といった表拍だけを意識しがちで、「1と2の間」「2と3の間」にある裏拍を捉えきれていません。
その結果、動きが常に前のめりになったり、逆に遅れたりして、音楽特有のノリが出にくくなります。

裏拍の感覚を身につけるには、まず手拍子で「1・2・3・4」と取りつつ、足で「タ・タ・タ・タ」と間の拍を刻むといった分離練習が効果的です。
慣れてくると、「1と」「2と」といった細かいリズムを自然に感じられるようになり、ベーシックなステップでもグルーヴが格段に増していきます。

メンタル面と学習スタイルから見た特徴

リズム感は、身体や耳だけでなく、メンタルや学習スタイルにも大きく影響を受けます。
「間違えたくない」「恥ずかしい」といった感情が強く働くと、身体が固まり、結果的に音から遅れやすくなります。
また、情報処理の仕方にも個人差があり、「目で見て覚えるタイプ」「耳で聞いて覚えるタイプ」「体で感じて覚えるタイプ」が存在します。
自分の傾向を理解せずに、合わない練習方法を続けると、なかなか上達を実感できません。

ここでは、レッスンでよく見られるメンタル面の特徴と、学習スタイルの違いに着目して、自分に合ったアプローチを見つけるヒントを紹介します。
リズム感を鍛えるうえで、自己否定を減らし、集中すべきポイントを絞ることは非常に重要です。

間違いを恐れて動きが小さくなる

リズムが合わない人の中には、間違いを極端に恐れるあまり、動きがどんどん小さく縮こまっていくタイプがいます。
動きが小さいと、ビートとのズレが自分でも認識しづらく、修正のきっかけがなかなかつかめません。
また、周囲の目を気にしすぎることで、集中すべき「音」から意識が離れ、結果としてさらにリズムが崩れるという悪循環に陥りがちです。

レッスン初期の段階では、「大きく間違えてもいいから、まずは音に対して大胆に動く」というマインドに切り替えることが大切です。
あえてオーバーにステップを踏み、ビートの頭を強調して動く練習を行うと、自分のズレが明確に感じられ、修正も早くなります。

視覚情報に頼りすぎて音を聞いていない

鏡やインストラクターの動きを必死に追いかけるあまり、「音」よりも「見た目」に集中してしまうケースも多いです。
この状態では、先生の動きと自分の動きをコピーすることはできても、曲が変わった瞬間に全く対応できない、という事態が起きます。
リズム感があるダンサーは、振り付けを覚える段階から、常に「どの音に対してこの動きをしているのか」を意識しています。

レッスン中に、あえて一度鏡を見ずに踊ってみたり、先生の姿を見ないで音だけで振りを思い出す時間を設けることで、「耳主導」の学習に切り替えることができます。
最終的には、視覚と聴覚をバランスよく使い分けることが理想ですが、リズム感に不安があるうちは意識的に音の比重を高めると効果的です。

一度に多くを覚えようとして処理しきれない

複雑な振り付けを一度に覚えようとすると、頭の中が情報でいっぱいになり、リズムどころではなくなってしまいます。
特に初心者やブランクがある人は、「ステップ」「方向」「手の動き」「表情」など、同時に処理する情報が多すぎて、肝心のビートへの意識が抜けてしまうことがよくあります。
結果的に、音に合わせる余裕がなくなり、「リズム感がない」と感じてしまうのです。

この問題を避けるには、練習の優先順位を明確に決めることが大切です。
例えば、最初の数回は「足だけ」「リズムだけ」に集中し、手の振りや表情は後から足す、といった段階的なアプローチを取ることで、音を軸にした学習がしやすくなります。

リズム感を鍛える具体的なトレーニング方法

ここまで、リズム感がない人の特徴を身体・音の聞き方・メンタルという観点から整理してきました。
ここからは、それらを改善するための具体的なトレーニング方法を紹介します。
自宅で一人でできる練習から、スタジオでの取り組み方まで幅広く扱うので、自分のライフスタイルに合わせて取り入れてみてください。
重要なのは、「短時間を毎日継続する」ことと、「目的を意識して練習する」ことです。

リズム感トレーニングは、いきなり難しいコンビネーションを踊ることではなく、「歩く」「手を叩く」「足踏みをする」といったシンプルな動きから始めると効果的です。
基礎を丁寧に積み上げることで、ジャンルに関わらず応用が利く土台ができます。

メトロノームと手拍子を使った基礎トレーニング

最もシンプルで効果的なのが、メトロノームを使った手拍子トレーニングです。
スマホアプリなどで一定のテンポを鳴らし、その音に合わせて「1・2・3・4」と声を出しながら手を叩きます。
慣れてきたら、「2と4だけ叩く」「裏拍だけ叩く」といったバリエーションにも挑戦してみてください。
これにより、ビートの位置を身体で正確に感じる能力が養われます。

ポイントは、「メトロノームの音と自分の手拍子がどれだけ重なっているか」を耳で確認することです。
ズレた時には一度止めて、深呼吸をしてから再開すると集中力が保ちやすくなります。
この練習を毎日数分続けるだけでも、ダンスレッスンでのリズムの取りやすさが大きく変わってきます。

ステップとカウントを声に出す練習

ダンスでは、「動きながらカウントを取る」能力がとても重要です。
リズム感に不安がある人の多くは、頭の中でしかカウントを取っておらず、その結果、途中で分からなくなってしまいます。
そこで有効なのが、簡単なステップを踏みながら、実際に声に出してカウントを数える練習です。
例えば、左右の足踏みをしながら「1・2・3・4・5・6・7・8」と数え続けてみてください。

慣れてきたら、「1と2と3と4と」のように間の拍も声に出しつつ、ステップを変化させていきます。
声と身体とビートを同時にコントロールすることで、音に対するタイミング感覚が一気に洗練されていきます。
スタジオでのウォームアップとして取り入れるのもおすすめです。

ジャンル別のベーシックステップでリズムを体得する

各ジャンルには、「そのスタイルのリズム感」を体で覚えるためのベーシックステップが存在します。
例えば、ヒップホップならアップとダウン、ハウスならツーステップやパドブレ、ロッキンならロックやポイント、タップならシャッフルやフラップといった具合です。
リズム感に不安がある場合、まずはこれらのベーシックを音楽に合わせて繰り返すことで、そのジャンル特有のノリを身につけることができます。

重要なのは、「正しい形」だけでなく、「どの拍でどの部分を強調しているか」を意識することです。
例えばヒップホップのダウンなら、「1で膝を落とし、2で戻る」といったタイミングを明確にし、音楽のキックやスネアとリンクさせていきます。
この積み重ねが、コンビネーションを踊る際の安定したリズム感につながります。

ジャンルごとに異なるリズムの乗り方と注意点

リズム感を磨くうえで、各ジャンル特有の「乗り方」を理解することは非常に重要です。
同じ8カウントでも、ジャズとヒップホップ、ハウスとロッキンでは、意識するポイントや体の使い方が大きく異なります。
ここでは、代表的なジャンルごとに、リズム感に悩みやすいポイントと、その乗り越え方を解説します。
複数ジャンルを練習している人にとっても、自分の中でスタイルを切り替える参考になるはずです。

一つのジャンルで身につけたリズム感は、別のジャンルにも応用できますが、そのまま流用すると違和感が出ることもあります。
「このスタイルでは、どんな体の使い方が自然なのか」を知ることで、音への乗り方を柔軟に変えられるようになります。

ヒップホップダンスのリズム感のポイント

ヒップホップでは、ビートの「裏」と「溜め」が重要です。
初心者がやりがちなのは、「1・2・3・4」の表拍で大きく動いてしまい、音より先に走ってしまうパターンです。
多くのヒップホップのグルーヴは、「1の少し後ろ」「2の少し後ろ」といった、わずかな遅れや溜めにあります。
アップやダウンのトレーニングで、「音の少し後ろに体を落とす」感覚を意識してみてください。

また、ボディコントロールの要素も強いため、胸や腰、肩など、体の各パーツを分解して動かすアイソレーションの練習も欠かせません。
個々のパーツを自由に動かせるようになるほど、ビートに細かく反応できるようになり、リズム感豊かな踊りにつながります。

ジャズダンス・ジャズコンテンポラリーのリズムの捉え方

ジャズやジャズコンテンポラリーでは、カウントだけでなく、フレーズ感やメロディラインを重視する場面が多くなります。
そのため、「1・2・3・4」を正確に踏めていても、音楽の流れと動きの流れが合っていなければ、リズム感が良く見えないことがあります。
特にコンテンポラリーでは、あえてビートから外すような間の取り方も表現の一部になります。

このスタイルでリズム感を磨くには、まずシアタージャズなどで用いられる基礎的なカウントの感覚を身につけ、そのうえで曲を何度も聞き込み、フレーズの山と谷を身体でなぞる練習が有効です。
音楽の盛り上がりに合わせて動きの大きさやスピードを変化させることで、単なるカウントの正確さを超えた「音楽的なリズム感」が養われます。

ハウス・ロッキン・タップに求められる高度なリズム感

ハウス、ロッキン、タップは、いずれも高度なリズム感が求められるジャンルです。
ハウスでは、速めのビートの中でフロアを滑るようにステップを踏み続ける持久力と、ビートに対する細かなタイミング調整が重要です。
ロッキンは、音のキメに対して瞬発的にポーズを決める要素が強く、コンマ数秒のズレがすぐに目立ちます。
タップは自分自身が打楽器となるため、リズムの認識と再現の精度が直接音として表れます。

これらのジャンルに挑戦する場合、最初から複雑なルーティンを追いかけるのではなく、基礎のステップやコンビネーションをゆっくりしたテンポで正確に踏むことから始めると良いでしょう。
テンポを徐々に上げながら練習することで、速い曲でもリズムを見失わない土台を作ることができます。

年齢や経験に関係なくリズム感を伸ばすコツ

リズム感についての相談でとても多いのが、「もう大人だから今からでは遅いのでは」「子どもの頃からやっていないと無理なのでは」という不安です。
しかし、実際のレッスン現場では、社会人やシニア世代からダンスを始めて、着実にリズム感を伸ばしている人はたくさんいます。
ここでは、年齢や経験に関係なくリズム感を伸ばすための、具体的な心構えと日常での工夫を紹介します。

重要なのは、「他人との比較」ではなく、「半年後の自分との比較」で上達を測ることです。
短期間で劇的に変わる魔法のような方法はありませんが、日々の小さな積み重ねが、気づいた時には大きな変化となって現れます。

日常生活の中でビートを感じる習慣をつくる

リズム感は、スタジオの中だけで育つものではありません。
通勤中の歩くテンポ、階段を上るリズム、家事をするときの動きなど、日常のあらゆる動作をビートに乗せる意識を持つことで、自然と身体がリズムに敏感になっていきます。
例えば、好きな音楽をイヤホンで聞きながら、足音をキックドラムに合わせるだけでも、立派なトレーニングになります。

また、テレビやラジオから流れてくる音楽に合わせて軽く体を揺らす、指でテーブルを叩くといった小さな習慣も効果的です。
大切なのは、「音を聞いたら、必ずどこか一か所を動かす」というルールを自分に課すことです。
これにより、耳と身体が結びついた状態が日常化し、スタジオでのダンスにも良い影響が現れます。

録画して自分のズレ方のクセを分析する

自分のリズム感を客観的に把握するうえで、動画撮影は非常に有効なツールです。
スマホで自分の練習風景を撮影し、音源と照らし合わせながら「どのタイミングで遅れているのか」「どの動きで走りやすいのか」をチェックしてみてください。
その際、全体を一度で評価しようとせず、「サビの8カウントだけ」「イントロのリズムだけ」といったように、部分ごとに細かく確認するのがポイントです。

自分のズレ方には必ずパターンがあります。
例えば、「方向転換のときだけ遅れる」「ジャンプの前に走る」といった具体的なクセを発見できれば、そこを重点的に練習することで効率的に改善できます。
自己分析を続けることで、レッスン中もその場で微調整できるようになっていきます。

無理なく続けられる練習計画を立てる

リズム感を鍛えるうえで、最も大切なのは継続です。
しかし、最初から完璧な練習計画を立ててしまうと、忙しい日が続いたときに挫折しやすくなります。
おすすめは、「毎日5分は必ずやる」「週に2日は15分しっかりやる」といった、無理のない最低ラインと、余裕がある日用の目標の二段構えで計画を立てることです。

メトロノーム練習、ベーシックステップ、音楽を聞くだけの日など、内容を変化させることで飽きにくくなります。
小さな達成を積み重ねることで自信も生まれ、「自分はリズム感がない」という固定観念から少しずつ解放されていきます。

まとめ

ダンスにおける「リズム感がない人」の特徴は、才能の有無というよりも、「身体の使い方」「音の聞き方」「メンタルと学習スタイル」の組み合わせによって生まれるものです。
重心が高い、上半身に力が入りすぎる、ベースやドラムを聞けていない、視覚情報に頼りすぎる、といった具体的なパターンを一つずつ理解し、修正していくことで、誰でも確実にリズム感を伸ばすことができます。

メトロノームを使った手拍子やカウント練習、ジャンル別ベーシックステップの反復、日常生活でビートを意識する習慣づくりなど、小さなトレーニングの積み重ねが、ダンスの質を大きく変えていきます。
今日からできることを一つ選び、まずは一週間続けてみてください。
気づいたときには、音に乗ることが前よりも自然に感じられ、「自分はリズム感がない」というセルフイメージが、静かに書き換わり始めているはずです。

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