ダンスの見せ方が上手い人の特徴!共通するポイントと磨き方のコツ

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同じ振付を踊っているのに、あの人だけなぜか目を引く。ステージでも動画でも、そうしたダンサーには必ず「見せ方」の技術があります。
テクニックや柔軟性よりも、まず「どう見えるか」を意識することで、ダンスは一気に垢抜けます。
本記事では、ジャンルを問わず通用する「見せ方が上手い人の特徴」と、その磨き方を具体的に解説します。レッスン歴が浅い方から指導者レベルの方まで、実践しやすいポイントに落とし込みました。

目次

ダンス 見せ方 上手い人 特徴とは何か

ダンスの見せ方が上手い人には、単にテクニックが高いというだけではない、共通した特徴があります。
一つは「自分がどう見えているか」を、常に客観的に把握しようとしている点です。鏡や動画を活用して、ポーズの角度、ライン、顔の向き、重心などを細かくチェックし、観客側の視点で修正を繰り返しています。

また、見せ方が上手い人は、振付の難易度にこだわり過ぎません。シンプルな動きでも、音の取り方や体の使い方、表情の付け方で、印象に残るパフォーマンスに仕上げていきます。
さらに、ステージングや立ち位置、カメラ映えも含めた「トータルデザイン」を意識しているため、どんな環境でも安定して目を引く存在になれるのです。

「技術」と「見せ方」は別物と理解する

多くのダンサーが見落としがちなのは、テクニックと見せ方は似ているようで全く別物だという点です。高難度のターンやアクロバットをこなせても、ラインが乱れていたり、顔が下を向いていたりすると、観客には「すごい」よりも「忙しい」印象しか残りません。
一方で、技術的にはそこまで難しくない振付でも、角度やタイミングを徹底的に磨いた結果、「あの人だけ光って見える」という状態を作り出すことができます。

つまり、「うまく見えること」を目的化して練習メニューを組むことが重要です。テクニック練習と同じくらい、鏡を使ったポージング研究、カメラでの見え方研究を行うことで、技術と見せ方が噛み合っていきます。この意識の切り替えが、上達のスピードに大きく影響します。

ジャンルを問わず共通する見せ方の要素

ジャズ、ヒップホップ、ハウス、ロッキン、タップといったジャンルごとにスタイルは違いますが、見せ方の根本にある要素は共通しています。
代表的なものは、ラインの美しさ、アイソレーションの明瞭さ、メリハリ(ダイナミクス)、空間の使い方、視線と表情のコントロールです。これらはどのジャンルでも評価されるポイントであり、プロの振付家や審査員も必ずチェックしています。

また、音楽のどこを強調し、どこを抜くかといった「音楽解釈」も、見せ方に直結します。どれだけ身体能力が高くても、音の取り方が単調だと、観客の印象に残りにくくなります。逆に、音を的確に捉え、抜きと溜めを作れる人は、自然と上級者らしい存在感を放つようになります。

観客目線とカメラ目線の違いを意識する

近年はステージだけでなく、SNS用の動画撮影やオンラインコンテストなど、カメラ越しに踊る機会が増えています。見せ方が上手い人は、観客目線とカメラ目線を切り替えられるのが特徴です。
ステージでは横や斜めからも見られるため、全方位のラインや立ち位置バランスが重要になります。一方、カメラ撮影では、基本的に正面からのフレーミングが中心となるため、「画面のどこに自分がいるか」「どの距離感が一番映えるか」を計算しています。

例えば、ジャズコンテンポラリーの大きなムーブを、あえてカメラ近くで行い迫力を出す、ロッキンのポイントでレンズを真っ直ぐ指すなど、メディアごとに見せ方を変えています。どちらも経験しておくことで、パフォーマンスの幅が格段に広がります。

ダンスの見せ方が上手い人に共通する身体の使い方

見せ方が上手いダンサーは、身体の使い方が非常に整理されています。大きく動くところと、小さく抑えるところの差が明確で、無駄な力みが少ないのが特徴です。
特に、体幹の安定と末端のコントロールが洗練されており、ステップやターンをしても上半身がぶれず、首・指先・つま先に至るまで、「どこで止まり、どこで流すか」をコントロールしています。

また、重心移動の軌道も非常に滑らかです。ジャズやコンテンポラリーでは、上下動や斜めの重心移動を使いつつも、ラインが崩れないよう支点を意識して動いています。ハウスやヒップホップでは、フットワークが細かくても、上半身のリズムが安定しているため、全体として音楽と一体化したような印象を与えます。

体幹と重心コントロールが安定している

見せ方の上手さを支える土台が、体幹と重心のコントロールです。体幹が弱いと、ジャンプやターンの着地でぐらつき、決めポーズで静止したい瞬間にも細かいブレが出てしまいます。これは観客の視点から見ると、「キレがない」「なんとなく頼りない」印象につながります。
体幹が安定しているダンサーは、ステップが速くなっても身体の中心がぶれません。そのため、一つ一つのポーズや動きに説得力が出て、シルエットも美しく見えます。

重心コントロールを鍛えるには、ゆっくりとしたバランストレーニングや、テンポを落としたアイソレーション、片足立ちからのムーブなどが有効です。ジャズだけでなく、ハウスのフロアムーブやロッキンのストップ系ムーブも、実は体幹力がものをいいます。基礎トレーニングとダンスムーブを連動させて練習することで、見せ方の土台を強化できます。

首・手先・足先まで意識が通っている

ダンスの印象を大きく左右するのが、「末端のコントロール」です。見せ方が上手い人は、首の角度、指先の方向、つま先の伸び方まで、徹底して意識を行き渡らせています。
例えば、ジャズのポーズで腕を上げるとき、手首がだらっとしているのか、指先まできれいに伸びているのかで、見え方はまったく変わります。ロッキンのポイントでも、指の形や手首の角度一つで、説得力やスタイルが大きく変わります。

足先も同じです。タップやハウスの細かいフットワークでは、つま先の向きが揃っているかどうかが、全体のクオリティを決定づけます。練習では、鏡の前であえて動きを小さくし、首・手先・足先の位置と方向だけを丁寧に確認する時間を取ると、ステージ上でのシルエットが一段階洗練されます。

力の入れどころと抜きどころを理解している

ずっと全力で踊ると、動きが固くなり、見ている側も疲れてしまいます。見せ方が上手い人は、「ここで力を入れる」「ここで一度抜く」というメリハリを明確に設計しています。
例えば、ヒップホップのグルーヴでは、ビートに対して抜き気味に乗り、アクセントのタイミングだけ一気にパワーを出すことで、立体的なリズムを生み出します。ジャズコンテンポラリーでは、スローな流れの中に一瞬の強いストップを入れることで、感情の起伏をドラマチックに見せることができます。

力を入れ続けるのではなく、「どこを目立たせたいか」を決め、そのポイントに向けて前後の動きを調整することが重要です。練習時に、同じ振付を「8割の力」と「10割の力」で踊り比べ、見え方を動画で確認すると、自分なりのベストバランスが見えてきます。

ダンスの見せ方が上手い人の音の取り方とリズム感

見せ方の上手さは、身体のラインだけでなく、音の取り方にも強く表れます。
音楽に対して常に遅れず、かつ詰め込み過ぎない「余裕のあるリズム感」がある人は、どのジャンルでも自然と目立ちます。単にビートに合わせるだけでなく、メロディ・歌詞・ベースラインなど、音楽の複数レイヤーを聞き分け、その中から「どこを拾うか」を選択しているのです。

また、同じカウントであっても、前ノリ、後ノリ、ど真ん中といったノリの位置をコントロールすることで、グルーヴの質を変化させています。この微妙なタイム感の違いが、「ダンスが音楽と一体になっている」という印象を生みます。結果として、難しいことをしていなくても、「音にハマっていてかっこいい」と感じさせることができます。

ビートだけでなくメロディや歌詞も拾う

見せ方が上手いダンサーは、ドラムのビートだけではなく、メロディラインや歌詞の意味にも敏感です。
例えば、ジャズダンスでバラードを踊るとき、歌詞のフレーズに合わせてスローなリーチを行い、言葉の切れ目で一度静止するなど、音楽の物語性を身体で表現します。ヒップホップでは、ラップの一語一語にヒットを合わせたり、韻を踏む箇所にアクセントを置くことで、楽曲のかっこよさを際立たせることができます。

メロディや歌詞を拾うためには、振付を覚える前に曲をよく聴き込み、鼻歌で歌えるくらいにしておくと効果的です。そのうえで「どの音を身体で表現するか」を決めていくと、自然とストーリー性のあるダンスになります。このプロセスを習慣化している人は、振り覚えも早く、アドリブにも強くなります。

抜きと溜めでリズムに立体感を出す

常に全ての音を正確に拾おうとすると、動きがせわしなくなり、見せ方としては逆効果になることがあります。上手い人は、あえて音を「抜く」ことで、重要なポイントに「溜め」を作り、リズムに立体感を出します。
ハウスダンスでは、細かいステップを続けた後に、数カウントだけ大きなウェーブやボディリズムで間を取ることで、空間と時間に余裕を生み出します。ジャズコンテンポラリーでは、音が鳴っているのに動きを止めるポーズを挟み、その後のムーブに向けて緊張感を高める手法がよく使われます。

抜きと溜めをマスターするには、曲を聴きながら「ここはあえて何もしない」「ここで一瞬静止する」など、動かない選択肢も含めて振付を考える練習が有効です。見せ方が上手い人ほど、「動かない勇気」を持っています。

グルーヴ感とタイム感を鍛える練習法

リズム感には、生まれつきの要素もありますが、多くはトレーニングで磨くことができます。
代表的な方法として、メトロノームやループビートに合わせて、歩くだけ・アイソレーションだけ・手拍子だけを行い、前ノリ、後ノリ、ど真ん中の3パターンでノリの位置を変える練習があります。これはヒップホップやハウスだけでなく、タップやロッキンの基礎練習としても非常に有効です。

また、普段聴いている音楽に合わせて、頭の中でカウントを取り続ける習慣をつけると、自然とタイム感が安定してきます。レッスン動画をスロー再生して、「音と動きがどのタイミングで重なっているか」を視覚的に確認するのもおすすめです。見せ方が上手いダンサーは、こうした地味な練習を継続的に行い、グルーヴとタイム感を少しずつ積み上げています。

視線・表情・立ち位置などのステージングの特徴

どれだけ身体の使い方や音の取り方が良くても、視線や表情、立ち位置などのステージングが弱いと、観客には届きにくくなります。見せ方が上手い人は、舞台やスタジオ全体を「一つの画面」として捉え、自分がその中でどう振る舞うかを計算しています。
特に、視線の方向と表情の変化は、観客の目線をコントロールする強力なツールです。目をどこに向けるか、いつ観客を見るか、いつあえて遠くを見るかなどを意識すると、同じ振付でもドラマ性がまったく変わります。

また、フォーメーションや立ち位置の取り方も重要です。センターにいるときはもちろん、端のポジションでも「自分の役割」を理解して動いている人は、どこにいても存在感があります。ステージングを設計できるようになると、グループ全体の見え方も大きく向上します。

視線と首の角度で印象をコントロールする

視線と首の角度は、観客が最初に受け取る情報の一つです。見せ方が上手いダンサーは、視線を意図的にコントロールし、感情やエネルギーを伝えています。
例えば、ジャズやコンテンポラリーでは、遠くの一点を見つめることでスケール感を出したり、あえて伏し目がちにして内面性を表現したりします。ヒップホップでは、低い目線でにらみつけるように見ることで、強さや重さを演出することができます。

練習では、同じ振付を「視線だけ変えて」何パターンも試してみると、自分に似合う見せ方が見えてきます。首の角度も数度違うだけで印象が変わるため、鏡に対して横・斜め・正面など、複数のアングルからチェックすることが大切です。

表情の作り方とジャンル別のポイント

表情は、見せ方を語る上で欠かせない要素です。ただ笑う、ただ真顔でいるのではなく、曲調やジャンルに合わせた表情を選ぶことで、説得力が増します。
ジャズダンスでは、スマイルだけでなく、挑発的な視線や大人っぽい余裕のある表情など、微妙なニュアンスの違いが求められます。ヒップホップでは、クール、アグレッシブ、リラックスした雰囲気など、グルーヴに合った表情がフィットします。ジャズコンテンポラリーでは、感情表現の振れ幅が大きいため、怒りや悲しみ、喜びなど、感情を具体的にイメージして踊ることが重要です。

表情トレーニングとして、鏡の前で音楽を流しながら、あえて上半身だけ、あるいは顔だけを動かし、どんな表情が曲に合うか試してみる方法があります。動画を撮って見返すと、思ったより表情が出ていないことに気づくことも多く、改善のきっかけになります。

立ち位置・フォーメーションの意識

グループで踊る場合、見せ方が上手い人は、立ち位置やフォーメーションの変化に敏感です。自分がセンターかサイドか、前列か後列かによって、動きの大きさや表情の強さを無意識に調整しています。
センターにいるときは、視線や動きのスケールをやや大きめにし、全体を引っ張る意識を持ちます。一方、サイドや後列では、フォーメーションの形が崩れないよう、ラインの揃い方や距離感により注意を払います。これにより、チーム全体としての完成度が高まり、個人としても「分かっているダンサー」として評価されます。

練習の際には、立ち位置ごとに動画を撮り、「この位置ではどう見えるか」を確認すると効果的です。鏡の前だけでなく、客席側からの視点を意識することで、ステージングの感覚が養われます。

ジャンル別:見せ方が上手い人に見られる具体的な特徴

見せ方の基本原則は共通していても、ジャンルごとに求められるニュアンスやポイントは異なります。ここでは、代表的なダンスジャンルごとに、見せ方が上手い人に共通する特徴を整理します。
自分が取り組んでいるジャンルはもちろん、他ジャンルの特徴を知ることで、表現の幅を広げるヒントにもなります。

複数ジャンルをミックスするダンサーも増えており、例えばジャズコンテンポラリーにヒップホップのグルーヴ感を取り入れるなど、ジャンル横断的な見せ方が求められる場面も多くなっています。各ジャンルのエッセンスを理解したうえで、自分なりのスタイルをデザインしていきましょう。

ジャズ・ジャズコンテンポラリーの見せ方

ジャズとジャズコンテンポラリーでは、ラインの美しさと感情表現の両方が重視されます。見せ方が上手い人は、長いラインを作るために指先・つま先を最大限に伸ばしつつ、肋骨や骨盤の細かいコントロールでニュアンスをつけています。
また、音楽のフレーズ感に合わせて、ムーブを大きく流す部分と、ストップを効かせる部分を明確に分けています。ターンやジャンプなどのテクニックも、単に回る・跳ぶのではなく、「どのタイミングで目線を観客に合わせるか」「着地でどんな表情を見せるか」まで設計されています。

ジャズコンテンポラリーでは、床との関係性も重要です。フロアワークの際、どのように重心を預け、どのように立ち上がるかによって、感情の流れが変わります。見せ方が上手い人は、床を単なる移動手段ではなく、感情を伝えるパートナーとして扱っています。

ヒップホップ・ハウスの見せ方

ヒップホップとハウスでは、グルーヴとリラックスした余裕が、見せ方の鍵になります。上手い人ほど、「頑張っている感」が出ません。力みを抜きつつも、ビートの芯は外さず、身体の芯でリズムを刻んでいます。
ヒップホップでは、上半身のバウンスやロール、下半身のステップが一体化しており、細かいアイソレーションが音にぴったりはまっています。見せ方が上手い人は、簡単な2ステップでも、上半身の使い方や視線、表情だけで観客を引き込む力を持っています。

ハウスでは、足元のステップが複雑になりがちですが、上半身は驚くほどリラックスしているのが特徴です。胸や肩のリズムを大きめに見せることで、ステップの細かさとの対比が生まれ、全体として気持ちの良いグルーヴが生まれます。見せ方が上手い人は、ステップの難易度を上げる前に、「気持ち良さそうに見えるか」を優先して練習しています。

ロッキン・タップなどリズム系ジャンルの見せ方

ロッキンやタップといったリズム系のジャンルでは、音の可視化が見せ方の中心になります。ロッキンでは、ポイント、ロック、スキーターラビットなどの基本ムーブを、明確なストップとリリースで見せることが重要です。見せ方が上手い人は、腕のスナップと体幹の固定を的確に使い分け、一つ一つのポーズにキレと遊び心を持たせています。
タップでは、足音そのものが音楽の一部となるため、音のクオリティと身体のラインを両立させる必要があります。上手い人は、足元にばかり意識を向けるのではなく、上半身や表情をしっかりと観客に向け、足音と身体表現の両方で魅せています。

これらのジャンルでは、リズムの精度がそのまま見せ方の説得力に直結します。メトロノームや音源に合わせた地道なリズム練習を続けることが、結果的に「かっこよく見える」近道になります。

ジャンル別の見せ方比較表

ジャンル 特に重視される見せ方要素
ジャズ ラインの美しさ、表情、ポーズのキメ
ジャズコンテンポラリー 感情表現、フロアワーク、流れとストップ
ヒップホップ グルーヴ感、アイソレーション、余裕のある表情
ハウス ステップの滑らかさ、上半身のリラックス、縦のリズム
ロッキン ストップのキレ、遊び心、腕のライン
タップ リズムの明瞭さ、足音と身体表現の一体感

ダンスの見せ方を磨くための具体的な練習方法

見せ方は才能ではなく、意識的な練習で着実に伸ばすことができます。ここでは、日々のレッスンや自主練に取り入れやすい具体的な方法を紹介します。
どのトレーニングも、特別な道具は必要なく、スタジオや自宅の少しのスペースがあれば始められます。大切なのは、「なんとなく踊る時間」を減らし、「どう見えるかを検証する時間」を増やすことです。

継続的に取り組むことで、数週間から数か月のスパンで、自分でもはっきり分かる変化が現れます。焦らず、少しずつ習慣化していきましょう。

鏡と動画を使ったセルフチェックのコツ

鏡と動画は、見せ方を磨くための最強のパートナーです。ただし、なんとなく眺めるだけでは効果が薄くなります。
鏡を使うときは、「今日は腕のラインだけを見る」「今日は足先と重心だけに集中する」といったように、チェックポイントを一つか二つに絞ると、改善が明確になります。全てを一度に直そうとすると、かえって何も変わらないことが多いからです。

動画撮影では、フルアウトで踊ったものだけでなく、あえて7割の力で踊ったものも残しておくと比較に役立ちます。数日置いてから見返すと、撮影直後には気づかなかった課題が見えてくることも多いです。気づいたポイントはメモしておき、次の練習で意識的に修正していくことで、少しずつ精度が上がっていきます。

ポージング・ストップの練習で「キメ」を強化する

見せ方を一気に引き上げるのが、ポージングとストップの質です。どれだけ動きが流れていても、最後の「キメ」が甘いと、全体の印象がぼやけてしまいます。
ポージング練習では、まず静止ポーズから始めます。ジャズならクラシカルなライン、ヒップホップならストリート感のある姿勢、コンテンポラリーならアンバランスな形など、ジャンルに合ったポーズをいくつか決め、それぞれを10秒ほどキープします。このとき、呼吸を止めず、身体のどこに力を入れ、どこをリラックスさせるかを細かく感じ取ります。

慣れてきたら、8カウントで動いて1カウントでストップする、という練習を行います。ストップの瞬間に視線と表情も決めることで、「写真映えする一瞬」を量産できるようになります。これがステージや動画での説得力につながります。

音楽解釈と振付構成のトレーニング

見せ方が上手い人ほど、音楽解釈と振付構成に時間をかけています。振付をただ覚えるのではなく、「なぜここでこの動きなのか」「どの音を強調しているのか」を考えています。
トレーニングとしておすすめなのは、短い8カウントや16カウントの音源に対して、自分でミニ振付を作ることです。その際、最初に「抜く部分」と「見せ場」を決めておきます。例えば、「前半の8カウントはシンプルに、後半の8カウントで一つ大きな技を入れる」といったイメージです。

こうした構成意識を養うことで、既存の振付を踊るときにも、「この振付の見せ場はここだな」と理解しやすくなり、その部分に向けてエネルギーを溜める踊り方ができるようになります。結果的に、振付家が意図した見せ方に近づくことができ、評価も上がります。

オンラインレッスンやワークショップの活用

見せ方の研究には、さまざまなスタイルのダンサーから刺激を受けることも重要です。スタジオでのレッスンに加えて、オンラインレッスンやワークショップを活用することで、自分の殻を破るきっかけが生まれます。
特に、普段とは違うジャンルのレッスンを受けてみると、自分の弱点や新しい魅せ方に気づくことがよくあります。例えば、ヒップホップダンサーがジャズのレッスンでラインの作り方を学ぶ、ジャズダンサーがハウスでグルーヴを体験するなど、クロスオーバーな学びは見せ方の幅を大きく広げます。

講師によっては、ステージングや表情、カメラワークに特化したクラスを行っている場合もあります。そうしたクラスでは、普段のテクニックレッスンとは異なる視点からフィードバックを得られるため、自分の見せ方を客観的に見直す良い機会になります。

ダンスの見せ方が上手い人になるためのマインドセット

最後に、テクニックや練習方法と同じくらい大切なのが、マインドセットです。見せ方を磨くプロセスは、自分の映像を見て落ち込んだり、他人と比較してしまったりと、メンタル的にも負荷がかかりやすいものです。
見せ方が上手い人は、そうした揺れを経験しながらも、自分なりの基準を持って成長を続けています。ここでは、そのための考え方のヒントを紹介します。

マインドセットを整えることで、練習の質が上がり、継続もしやすくなります。結果的に、ステージ上での自信や表情にも良い影響が現れます。

「うまく見せる」ことを恐れない

日本のダンサーの中には、「目立ち過ぎてはいけない」「自分だけアピールするのは恥ずかしい」と感じてしまう人も少なくありません。しかし、パフォーマンスの場では、「うまく見せる」ことは観客への礼儀でもあります。
見せ方が上手い人は、自分を大きく見せることや、表情豊かに踊ることに遠慮がありません。それは決して自己中心的なのではなく、「この音楽と振付を最大限かっこよく伝えたい」というサービス精神に近い感覚です。

もしアピールに抵抗がある場合は、「自分のために踊る」のではなく、「観客のために踊る」と意識を切り替えてみてください。そうすることで、表現の幅を広げることに対する心理的なハードルが下がり、見せ方の質も自然と向上していきます。

客観視と自己肯定感のバランスを取る

動画チェックや他人との比較は、見せ方を磨くうえで避けて通れませんが、やり方を間違えると自己否定につながってしまいます。
見せ方が上手い人は、「良くない部分」を冷静に分析しつつ、「良くなっている部分」もきちんと認識しています。動画を見るたびに「ここがダメだ」と思うだけでなく、「前回よりここが良くなった」「この表情は自分に合っている」といったポジティブな気づきも意識的に拾うようにしています。

また、完璧主義になり過ぎず、「この段階ではここまでできていれば十分」というラインを自分なりに設定することも大切です。成長には時間がかかるものだと受け入れ、長期的な視点で自分の変化を楽しむ余裕を持ちましょう。

継続的なインプットとアウトプットを回す

見せ方を磨き続けるには、インプット(観る・学ぶ)とアウトプット(踊る・試す)の循環が欠かせません。ライブや動画で他のダンサーの表現を研究し、それを自分の身体で試し、動画で検証する。このサイクルをどれだけ高頻度で回せるかが、上達スピードの差として現れます。
特に、憧れのダンサーや振付家を数人決め、その人たちの動画を定期的に観察することは良い刺激になります。ただし、「完全コピー」を目指すのではなく、「自分だったらどう見せるか」を考えながら吸収していくことが重要です。

アウトプットとして、人前で踊る機会を増やすこともおすすめです。発表会やコンテスト、ショーケース、SNSへの投稿など、規模は問わず、観客や視聴者からのリアクションを得ることで、自分の見せ方を客観的に捉え直すことができます。

まとめ

ダンスの見せ方が上手い人には、身体の使い方、音の取り方、視線や表情、ステージングなど、多くの共通点があります。しかし、それらは生まれ持った才能ではなく、日々の意識と練習によって磨かれていくものです。
体幹や末端のコントロールを整え、音楽を深く理解し、視線や表情で物語を語る。さらに、ジャンルごとの特徴を押さえつつ、自分なりのスタイルをデザインしていくことで、「あの人は見せ方が上手い」と言われるダンサーに近づくことができます。

鏡や動画を活用したセルフチェック、ポージングとストップの強化、音楽解釈や振付構成のトレーニング、そして多様なレッスンやワークショップからのインプットを通じて、少しずつ自分の見え方をアップデートしていきましょう。
一つ一つの積み重ねが、ステージや動画での「一瞬の説得力」となって表れます。そのプロセス自体を楽しみながら、自分だけの魅せるダンスを育てていってください。

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