ボックスステップの特徴とは?種類別のやり方と応用テクニックも解説

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シンプルなのに、あらゆるジャンルで使われる万能ステップがボックスステップです。
社交ダンスだけでなく、ジャズダンス、ヒップホップ、ハウス系、さらにはミュージカルまで、現場のプロもレッスンの基礎として必ずといってよいほど取り入れています。
本記事では、ボックスステップの特徴や代表的な種類、ジャンル別の応用方法、練習のコツまで専門的に解説します。ダンス経験の有無にかかわらず、読み進めることで、今すぐ踊りの安定感と表現力を一段レベルアップさせるヒントが得られるはずです。

目次

ボックスステップの特徴と種類、応用までを一気に理解しよう

ボックスステップは、足の軌道で四角形を描くように踏むステップの総称です。
多くのダンスジャンルの基礎に組み込まれており、ステップ自体は単純ですが、リズムの取り方や体重移動の質、上半身の使い方を変えることで、まったく違うダンススタイルとして見せることができます。
そのため、初心者にとっては入門に最適であり、上級者にとっては基礎力チェックと表現の幅を広げるうえで欠かせないステップです。

本記事では、まずボックスステップの基本概念と特徴を整理し、そのうえでジャンルごとの代表的な種類を紹介します。
さらに、応用としてテンポチェンジ、ターンやアイソレーションとの組み合わせ、ルーティンへの組み込み方まで詳しく触れていきます。
踊りをこれから始めたい方、基礎を見直したい中級者、指導者として説明の言語化をしたい方のすべてに役立つ内容となるよう構成しています。

ボックスステップとは何かを整理する

ボックスステップとは、足の置き位置が床上に四角形を描くようになるステップのことです。
前後左右の移動を組み合わせながら、一定のリズムで四拍ないし八拍を使って踏むのが基本で、多くの場合は「前に出す足」「横に開く足」「そろえる足」という三つの動きと、残りの一歩でボックスを完成させます。
ワルツなどの社交ダンスではスクエアルンジに近い形で用いられ、ジャズダンスではアップライトな姿勢でスイング感を付加し、ヒップホップでは膝を落としてグルーヴを重視したスタイルで使われます。

重要なのは、どのジャンルでも「床に描く形」はほぼ同じでも、体重移動のタイミングや上半身のノリを変えるだけで、全く違うダンスに見える点です。
この性質のおかげで、ボックスステップはさまざまなレッスンで共通言語として機能し、初心者が複数ジャンルへスムーズに橋渡しできるステップとなっています。

ボックスステップが重視される理由

ボックスステップがダンス教育の現場で重視される最大の理由は、「リズム感」「体重移動」「空間認識」の三つを同時に鍛えられる点にあります。
一見単純な4歩や8歩の繰り返しですが、音楽に合わせて安定して踏むには、足を出すタイミングだけでなく、どの瞬間に重心を移し切るか、どれだけ膝を曲げて衝撃を吸収するか、といった細かい要素が絡み合います。
これを反復することで、リズムの取り方が自然と身体に染み込み、他の複雑なステップを習得するときの土台になるのです。

また、四角形という明確な軌道があるため、鏡を見ながらのフォームチェックがしやすく、オンラインレッスンでも説明しやすいという利点もあります。
インストラクターが「前、横、そろえて、戻る」といったシンプルな言葉で指示できるので、年齢や経験に関係なく共有しやすいステップとして定着しています。

ボックスステップが使われる主なダンスジャンル

ボックスステップは、社交ダンス、ジャズダンス、ヒップホップ、ハウス、ロッキン、ブロードウェイスタイルのミュージカル、タップダンスなど、幅広いジャンルで応用されています。
社交ダンスでは、ルンバやワルツの基本フィガーとして「ボックス」と呼ばれ、ホールドを組んだペアワークの中で用いられます。
ジャズダンスではコンビネーションの中に自然に織り込まれ、ダイアゴナル移動やラインづくりの基礎として扱われます。

ストリート系では、ヒップホップでダウンやアップをつけたグルーヴステップとして、ハウスではフロアを縦横に使うフットワークのバリエーションとして機能します。
タップダンスでは、ボールやヒールの踏み分けを伴う音のあるボックスステップとなり、音楽的なアクセントを付加できます。
このように、ボックスステップを理解しておくと、ジャンルを越えて共通する足さばきの感覚を獲得できる点が大きなメリットです。

ボックスステップの基本構造と身体の使い方

ボックスステップを正しく理解するには、単に足の順番を覚えるだけでは足りません。
同じステップでも、体重移動や骨盤の向き、膝や足首のクッションの使い方を整理しておくことで、踊りの安定性や見栄えが大きく変わります。
ここでは、ジャンルを問わず共通で押さえておきたい基本構造と身体の使い方について詳しく解説します。

特に、軸足の意識と「乗り切る」「残す」の感覚の違いを理解することで、後述するジャズやヒップホップ、ハウスへの応用がスムーズになります。
振付を覚えるスピードを上げたい方や、鏡ではそれなりに踊れているのに動画で見ると「なんとなくキレがない」と感じる方にとっても、基礎見直しのガイドとして役立つはずです。

足の軌道と四角形のイメージ

ボックスステップでは、床の上に見えない四角形をイメージします。
例えば右足から始める場合、右足を前に出す、左足を左横に出す、右足を後ろにそろえる、左足を元の位置に戻す、という流れで四角形が完成します。
重要なのは、一歩一歩を雑に踏まず、頂点となる位置を毎回ほぼ同じ場所に置くことです。これにより、ステップの形が安定し、見た目も整います。

最初のうちは、床にテープで四角形を貼ったり、マットの模様を基準にしながら練習すると軌道を把握しやすくなります。
慣れてきたら、四角形のサイズを大きくしたり小さくしたりして、空間認識と歩幅のコントロールを調整しましょう。
こうした基本的な軌道のコントロールが、後にターンやジャンプ、スライドなどを組み合わせる際にも大きな助けになります。

体重移動と重心のコントロール

ボックスステップを滑らかに見せる鍵は、「重心がどこにあるか」を常に自覚することです。
一歩踏み出した瞬間にすべての体重を乗せ切るのか、次の一歩のためにわずかに残しておくのかで、踊りの印象が大きく変わります。
社交ダンスやジャズコンテンポラリーでは、乗せ切ることでラインを明確にし、ヒップホップやハウスでは、少し重心を残すことで揺らぎのあるグルーヴを作ることが多いです。

練習の際は、鏡を見ながら「今、どの足にどれくらい乗っているか」を細かく感じ取るようにします。
特に、重心が左右に流れすぎるとブレて見え、上下に跳ねすぎると音楽との一体感が損なわれます。
膝と足首を柔らかく使いながら、重心の高さを大きく変え過ぎないよう意識すると、安定感と滑らかさが両立したボックスステップになります。

上半身と腕のポジション

足元に意識が集中しがちなボックスステップですが、上半身と腕のポジションが整っていないと、全体として未完成な印象になります。
基本は、頭の位置を大きく揺らさず、背骨を縦に伸ばしたまま、骨盤と胸郭を必要な範囲で回旋させます。
ジャズ系では胸をやや開き、ヒップホップ系では胸を落としてセンターを低く構えるなど、ジャンルによって雰囲気は変わりますが、軸の意識は共通です。

腕は、社交ダンスならホールド、ジャズならデミセカンドやブラキオポジション、ヒップホップならリラックスしたダウンポジションなど、スタイルに合った形を保ちます。
足の動きに合わせて不要にバタつかせるのではなく、カウントに合わせてコントロールされたスイングを与えることで、ステップと音楽の一体感が高まります。
まずは足だけで安定して踏めるように練習し、その後腕を加える二段階の学習が効率的です。

代表的なボックスステップの種類と違い

一口にボックスステップといっても、ダンスジャンルごとに足順や体の使い方が少しずつ異なります。
ここでは、実際のレッスンやステージでよく使われる代表的なバリエーションを取り上げ、違いを整理していきます。
それぞれの特徴を理解しておくことで、振付の中でどのタイプが使われているかを瞬時に判別し、正しいニュアンスで再現しやすくなります。

特に、社交ダンス系のボックスと、ジャズ・ストリート系のボックスは目的が異なり、同じ四角形でも求められるクオリティが変わります。
レッスンで混乱しやすいポイントも踏まえながら、主要な種類を順に解説します。

社交ダンス系ボックスステップ

社交ダンスでは、ルンバやワルツ、フォックストロットなどでボックスと呼ばれるステップが用いられます。
特徴は、ペアでホールドを組み、リードとフォローの関係の中で四角形を描く点です。
例えばルンバのボックスでは、前進と後退の歩幅コントロール、足のローリング、ヒップアクションが重要になり、単に足を置くだけではなく、体全体で滑らかに移動していきます。

また、社交ダンスではフロア全体を使って進行する必要があるため、ボックス自体もやや前進・後退しながら踊られることが多いです。
ペアの距離感を一定に保ちつつ、相手の軸を崩さないリードを行うことが求められるため、ソロでのボックスステップよりも高度な技術が必要となります。
これらはソロダンサーが空間感覚を鍛える上でも有効な練習素材になります。

ジャズダンス・ジャズコンテンポラリー系ボックス

ジャズダンスやジャズコンテンポラリーでは、ボックスステップは移動と方向転換の基本として多用されます。
姿勢はアップライトで、頭から足先までのラインを意識しながら、四角形をはっきりと描きます。
カウントは1・2・3・4または1&2&3&4&など、音楽のテンポやスタイルに応じてさまざまですが、共通しているのは、足を置く瞬間のアクセントとスイング感です。

ジャズコンテンポラリーでは、ボックスステップにコンタクトやリリース、フロアワークへの移行が組み合わさることが多く、四角形の形を大胆に変形させたり、傾斜やレベルチェンジを加えます。
そのため、基本形をしっかり身につけた上で、体の流れを止めずに形を崩していく感覚が重要になります。
短いフレーズの中でもボックスを要素として見抜けると、振付の理解がぐっと早くなります。

ヒップホップ・ハウス系ボックス

ヒップホップやハウスダンスでも、ボックスステップは頻出です。
ヒップホップでは、ダウンもしくはアップのリズムをはっきり打ちながら、膝を柔らかく使ってグルーヴ感を出すことが特徴です。
足の四角形は比較的小さく、重心をやや低めに構え、上半身はリラックスさせたまま首や胸、肩のアイソレーションを乗せることで、音楽の細かなビートを表現します。

ハウスでは、ステップワークがより細かくなり、ボックスのラインも斜め方向に伸びることがあります。
ツーステップなどの基本ステップからボックスに移行したり、その逆を行うことで、フロアを縦横無尽に使うダイナミックなムーブが生まれます。
いずれの場合も、重心がぶれないようにセンターを意識しつつ、足首と膝のバネをうまく使うことが、音楽との一体感を高めるポイントです。

タップダンスにおけるボックスステップ

タップダンスでは、ボックスステップが音のあるステップとして使用されます。
足の運びは一般的なボックスと似ていますが、ボールやヒール、トゥなど、どの部位で音を出すかが重要になります。
たとえば、前に踏み出す一歩をボールで軽く、横はヒールで重く、といった具合に、同じ四角形の中で音色やアクセントを変えることで、リズミカルで立体的なフレーズを作ることができます。

また、タップでは音符の長さやシンコペーションを強調するために、あえて四角形を崩したボックスステップも多用されます。
足型をしっかり守りながら、上半身をスイングさせるスタイルもあれば、ミニマルな動きで高度なリズムだけを聞かせるスタイルも存在します。
音楽的な観点からボックスステップを見直したいダンサーにとって、タップ的なアプローチは大きなヒントになるでしょう。

ボックスステップのメリットとダンス上達への効果

ボックスステップを丁寧に練習することは、単に一つのステップを覚える以上の意味を持ちます。
リズム感やバランス感覚の向上はもちろん、空間の使い方やペアワークの基礎、多ジャンルへの応用力など、総合的なダンススキルに直結するメリットがあります。
ここでは、具体的にどのような力が伸びるのかを整理して解説します。

特に、基礎練習を退屈に感じている方にとって、ボックスステップのトレーニング効果を正しく理解しておくことは、モチベーションの維持にも役立ちます。
下記のような観点から、自分の課題と照らし合わせて読み進めてみてください。

リズム感とグルーヴの向上

ボックスステップは、同じパターンを一定のリズムで繰り返すため、メトロノームや音源と合わせて反復するだけで、自然とリズム感が養われます。
特に、足を置く瞬間を表拍に合わせるのか、裏拍に乗せるのかを意識して練習することで、音楽の表と裏を体で理解できるようになります。
ヒップホップやハウスでは、ダウンとアップの位置を変えながらボックスステップを踏むことで、独特のグルーヴを体得しやすくなります。

また、テンポの異なる曲で同じボックスステップを踏んでみることも効果的です。
ゆっくりのテンポでは重心移動を細かく感じ取り、速いテンポでは最小限の動きで正確にカウントに乗ることが求められます。
この幅広いテンポへの適応力は、どんな現場でも冷静に音楽をとらえられるダンサーになるための大きな強みとなります。

バランスと軸の安定

ボックスステップでは、前後左右に連続して体重移動を行うため、軸の安定が非常に重要になります。
一歩ごとに上体がぐらついてしまうと、全体として落ち着きのない踊りに見えてしまいますが、逆に軸がしっかりしていれば、どんなバリエーションを加えても安定感のある表現が可能になります。
特に、ターンやジャンプへ移行する前の土台として、ボックスで軸を確認しておくと、失敗リスクを大きく減らせます。

練習法としては、まず鏡を見ながら上半身のブレをチェックし、次に目を閉じてボックスステップを踏んでみる方法があります。
視覚情報を遮断してもバランスを保てるようになれば、床の感覚と体内感覚に頼った本質的な安定性が身についている証拠です。
このような基礎トレーニングは、舞台照明や観客の視線など、実際の本番環境でも動じない軸を作るうえで非常に有効です。

空間認識とフロアの使い方

ボックスステップは常に四角形を意識するため、自然と空間認識能力が鍛えられます。
自分の周囲にどれくらいのスペースがあり、どの方向へどの程度動けばぶつからずに済むかを直感的に把握できるようになります。
これは、グループダンスでのフォーメーション移動や、ペアワークにおいて特に重要なスキルです。

レッスンでは、スタジオの端から端までボックスステップを連続して踏みながら前進・後退したり、円形に並んでボックスを踏むなど、様々なバリエーションが行われています。
こうした練習を重ねることで、「ただその場で踊る」のではなく、「空間全体をデザインしながら踊る」という感覚が身につきます。
舞台やカメラワークを意識したパフォーマンスを目指す方にとっても、大きな武器となる感覚です。

応用力を高めるボックスステップのアレンジテクニック

基本のボックスステップに慣れてきたら、次は応用テクニックに挑戦していきましょう。
応用といっても、足の順番を大きく変える必要はなく、リズム、方向、レベル、アイソレーションなどの要素を少しずつ加えていくイメージです。
ここでは、実際の振付や即興でそのまま使える代表的なアレンジ方法を取り上げます。

どのテクニックも、いきなり複雑にするのではなく、まずは基本形に一つだけ要素を追加し、慣れてきたら二つ目、三つ目と積み上げていくのがポイントです。
この段階的な発展が、踊りの質を落とさずに表現の幅を広げる近道になります。

テンポチェンジとリズムバリエーション

テンポチェンジは、ボックスステップの印象を劇的に変える方法です。
例えば、最初の二歩をゆっくりと踏み、残りの二歩を素早く踏むことで、同じ四拍の中に緩急をつけることができます。
また、1拍目をわざと少し遅らせて踏むレイドバックや、裏拍で踏むスタイルなど、音楽ジャンルに応じてさまざまなリズムバリエーションが考えられます。

練習の際は、メトロノームやシンプルなビートに合わせて、次のようなパターンを試してみてください。

  • 均等な1・2・3・4のボックス
  • スロー・クイック・クイックのボックス
  • 1&2&3&4&で細かく刻むボックス

これらを自在に行き来できるようになると、音源の変化に即応できる柔軟な身体になります。

ターンやピボットとの組み合わせ

ボックスステップにターンやピボットを組み合わせると、空間的な広がりと視覚的な華やかさが一気に増します。
代表的なのは、四角形の一辺ごとに90度ずつ方向を変える方法や、最後の一歩でピボットターンを行い、次のボックスにスムーズにつなげる方法です。
社交ダンスでは、パートナーとの位置関係を保ったままターンを行う必要があり、リードとフォローのスキルが問われます。

ソロで練習する場合は、まずはその場で90度回転しながらボックスを踏むことから始めましょう。
慣れてきたら、180度、360度と回転角度を増やし、視線や腕のラインも連動させます。
このときも軸足の意識が重要で、余計な力みが入ると回転がブレやすくなります。重心をやや低めに構え、回り始めと止まる瞬間のコントロールを丁寧に行うことがポイントです。

アイソレーションとの連動

ボックスステップに首、肩、胸、腰のアイソレーションを組み合わせると、音楽の細かなニュアンスやグルーヴを豊かに表現できます。
ヒップホップでは、足はシンプルなボックスを踏みながら、上半身だけでビートを刻んだり、メロディラインをなぞることがよく行われます。
ジャズダンスでも、胸のコンビネーションとボックスを同時に行う振付が多く、センターの独立性が求められます。

練習のコツは、まず足だけのボックス、次にアイソレーションだけ、最後に両方を組み合わせるという三段階に分けることです。
一度にすべてをやろうとすると、どちらかが疎かになりがちですが、段階的に統合することで、安定してコントロールできるようになります。
音楽のどのパートを足で、どのパートを上半身で表現するのかを意識しながら行うと、より音楽的なダンスになります。

ルーティンへの組み込み方のコツ

ボックスステップを振付やルーティンの中で活かすためには、「つなぎ」として使うのか「見せ場」として使うのかを意識することが重要です。
つなぎとして使う場合は、シンプルな形でフロアを移動したり、フォーメーションチェンジのための移動として活用します。
見せ場として使う場合は、テンポチェンジやアイソレーション、ターンなどを組み合わせて、音楽の盛り上がりに合わせた印象的なフレーズに仕上げます。

振付を作る際には、次のような観点でボックスステップを配置すると効果的です。

  • 歌のフレーズが切り替わる部分に、方向転換を伴うボックスを入れる
  • サビ前のブレイクで、テンポを落としたボックスを使い、緊張感を高める
  • サビに入った瞬間、ジャンプやターンを絡めたボックスで一気に視線を集める

こうした工夫により、シンプルなステップであっても、作品全体の構成の中で強いインパクトを持たせることができます。

ボックスステップ練習法と上達のポイント

ボックスステップを効率よく上達させるには、ただ回数を踏むだけでなく、目的を持った練習が不可欠です。
ここでは、自宅でもスタジオでも取り組める実践的な練習方法と、つまずきやすいポイントの改善策を紹介します。
年齢や経験を問わず実践できる内容ですので、自分のレベルに合わせて取り入れてみてください。

また、練習を継続するためのメンタル面の工夫についても触れます。
基礎練習は一見地味に感じられますが、その積み重ねがステージ上での説得力となって表れます。
日々の練習を具体的な成長につなげるためのヒントとして、参考にしていただければ幸いです。

初心者向けステップバイステップ練習

初心者の方は、以下の順序で段階的に練習するのがおすすめです。

  1. 足の順番だけをカウントで確認する
  2. 重心の乗せ方を意識しながらゆっくり踏む
  3. 音楽に合わせて一定のテンポで繰り返す

まずは鏡の前で、四角形の各頂点に足がしっかり到達しているかを確認します。
このとき、腰や上半身が不要に横に流れていないかもチェックしましょう。

慣れてきたら、メトロノームやシンプルなドラムループに合わせて、1分間途切れずにボックスステップを続けるトレーニングを行います。
途中で足順が混乱したり、リズムからずれてしまうようであれば、その原因を一つずつ洗い出し、苦手な部分だけを切り出して練習することが重要です。
例えば、「前に出す足のときだけタイミングが遅れる」といった癖に気付けると、改善スピードが一気に上がります。

中級者以上のための応用ドリル

中級者以上の方は、基本形を崩さずにどれだけバリエーションを出せるかが課題になります。
おすすめのドリルとしては、テンポや方向、レベルを変えたボックスステップの連続練習があります。
例えば、8カウントごとに次のように切り替えていきます。

  • 通常の高さで前向きボックス
  • 重心を落とした低いボックス
  • 90度ずつ回転しながらのボックス
  • アイソレーションを加えたボックス

また、音楽のジャンルを変えて同じボックスステップを踊る練習も効果的です。
ジャズ、ファンク、ヒップホップ、ハウスなど、リズムの質が異なるトラックに合わせて踏むことで、自分の癖や得意不得意が浮き彫りになります。
それぞれのジャンルで求められるニュアンスを研究しながら、自分なりのグルーヴを探っていくプロセスが、表現力の向上につながります。

よくあるミスと修正のコツ

ボックスステップでよく見られるミスには、次のようなものがあります。

  • 四角形が崩れて、ただの前後ステップになってしまう
  • 上半身が大きく揺れすぎて、安定感がない
  • 足音が無駄に大きく、床を叩いてしまう

これらはいずれも、重心と足の運びの関係が整理できていないことが原因である場合が多いです。

修正のコツとしては、一度テンポを極端に落とし、各ステップの前後に1拍ずつ「静止の時間」を挟んでみる方法があります。
止まった状態で自分の姿勢や足の位置を確認することで、どこで軌道がずれているかが明確になります。
また、動画を撮影して客観的に確認することも非常に有効です。
自分では大きく動いているつもりでも、実際には動きが小さかったり、逆にやり過ぎていたりするケースは少なくありません。

自宅練習の環境づくりと注意点

自宅でボックスステップを練習する場合は、床の素材やスペース、安全面に十分配慮する必要があります。
フローリングの場合は滑りやすさに注意し、必要に応じてダンス用シューズや滑りにくいソックスを使用します。
振動や音が下階に伝わりにくいマットを敷くのも一つの方法です。

また、鏡がない場合でも、スマートフォンで動画を撮りながら練習することで、フォームチェックが可能です。
部屋の広さに応じて四角形のサイズを調整し、家具などにぶつからないよう余裕を持ったスペースを確保しましょう。
練習時間帯についても、生活音が気になりにくい時間を選ぶことで、周囲への配慮と集中力の維持の両立がしやすくなります。

ボックスステップの種類と応用を比較して整理する

ここまで解説してきたボックスステップの特徴や種類、応用方法を整理するために、ジャンルごとの違いや目的別の使い分けを一覧で確認してみましょう。
比較することで、自分が今どの要素に重点を置いて練習すべきかが明確になります。
下記の表では、代表的なジャンルごとのボックスステップの特徴と、主な応用ポイントをまとめています。

すべてを一度に習得する必要はありません。
まずは自分が取り組んでいるジャンルを中心に理解し、徐々に他ジャンルの特徴を取り入れていくことで、クロスオーバーな表現力を身につけることができます。

ジャンル 主な特徴 重心の位置 主な応用ポイント
社交ダンス ペアで四角形を描く、滑らかな移動とホールド 中〜やや高め リードとフォロー、ラインづくり、フロア進行
ジャズ / ジャズコンテンポラリー アップライトな姿勢とスイング感 中くらいで安定 方向転換、ダイアゴナル移動、フロアワークへの接続
ヒップホップ 膝を落としたグルーヴ、アイソレーションとの併用 やや低め ビート表現、リズムチェンジ、グルーヴ練習
ハウス 軽やかなフットワークと大きなフロア使い 中〜低め テンポの速いステップワーク、方向転換
タップ 足音を伴う四角形のステップ 中くらい リズムバリエーション、音色のコントロール

まとめ

ボックスステップは、足で四角形を描くシンプルなステップでありながら、社交ダンス、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、タップなど、幅広いジャンルの基礎として機能する非常に重要な要素です。
特徴として、リズム感、体重移動、空間認識を同時に鍛えられる点が挙げられ、ダンス上達の土台づくりに大きく貢献します。
種類もジャンルごとに微妙な違いがあり、それぞれのスタイルに合わせた重心の位置や身体の使い方を理解することで、表現の幅が大きく広がります。

応用面では、テンポチェンジやターン、アイソレーションとの組み合わせにより、同じボックスステップでもまったく異なる印象を生み出すことができます。
基礎形を丁寧に身につけ、そのうえで少しずつアレンジを加えていくことが、無理なくレベルアップしていくための最善のアプローチです。
日々の練習にボックスステップを取り入れ、自分の体と音楽の関係をより深く理解しながら、踊りのクオリティを一段上のステージへ引き上げていきましょう。

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