公園でダンスの練習は恥ずかしい？【人目を気にせずに上達するコツ】

ダンスを本気でうまくなりたいと思ったとき、必ずぶつかる壁が「練習場所」と「人の目」です。スタジオ以外で思い切り踊れる場所として公園は魅力的ですが、実際に行こうとすると恥ずかしさで足が止まってしまう方も多いはずです。
この記事では、公園でダンスを練習するときの恥ずかしさの正体から、具体的な克服方法、マナーやトラブル回避術、そして上達につながる実践メニューまで、ダンサー目線で専門的かつ分かりやすく解説します。公園練習デビューを安心して踏み出せるよう、一つずつ整理していきましょう。

公園 ダンス 練習 恥ずかしい と感じる理由とその正体

まずは、多くの人が「公園 ダンス 練習 恥ずかしい」と検索してしまう根本理由から整理していきます。恥ずかしさの中身を言語化できると、対策が具体的になり、気持ちもかなり楽になります。
恥ずかしさは、決してメンタルの弱さではありません。人間が本能的に持っている「他者からどう見られるか」を気にする感情であり、むしろ自然な反応です。ここでは、その正体をいくつかのパターンに分けて解説し、どこに自分が当てはまりやすいかを確認していきましょう。

特に、公園という開放的な空間では、視線の逃げ場がなく感じられたり、ダンス以外の目的で来ている人たちの中で浮いてしまうのではないか、と不安になるものです。ですが、構造を理解すれば、「恥ずかしさ＝悪いもの」という捉え方から、「うまく付き合うべき感情」へと見方を変えることができます。

人目が気になる心理メカニズム

人前で踊るときの恥ずかしさは、心理学的には「評価不安」と呼ばれるものに近いです。他人から「変だと思われないか」「下手だと笑われないか」といった評価を想像し、それに対して身構えることで緊張や恥ずかしさが生まれます。
ダンスは身体表現そのものであり、自分の癖やコンプレックスも露わになりやすいため、評価不安が強く出やすい分野です。特に初心者のうちは、自分のフォームやリズム感に自信が持てず、わずかな視線でも大きく感じてしまいます。

しかし実際には、公園で周囲の人が他人の動きをじっと観察し続ける時間はそれほど長くありません。通り過ぎる数秒の印象で終わることがほとんどです。評価不安は「他人が自分をどう見ているか」の想像が膨らみ過ぎている状態とも言えます。自分の頭の中で増幅されている要素が多い、と理解することが第一歩になります。

「下手だと思われそう」という不安

特にダンス初心者や、ブランク明けの人にとって大きいのが「下手だと思われるのが怖い」という感情です。まだ振りも固まっていない、アイソレーションもぎこちない、と自分で分かっているからこそ、第三者に見られることが負担になります。
この不安には「ダンスは完成されたものだけを見せるもの」という思い込みも関係しています。ステージやバトル動画ばかり見ていると、ダンス＝完成形というイメージが強く焼きつき、「練習中の自分は見せてはいけない」と感じてしまうのです。

しかし、プロダンサーも含め、どんな上級者も「人には見せたくない地味な練習」の積み重ねでしか上達していません。公園で黙々と基礎練をしている人を見かけたとして、多くのダンサーは「頑張っているな」と好意的に感じます。「下手だと思われる」という恐れは、自分が自分をどう評価しているかの裏返しであることを意識してみましょう。

日本特有の「周りと違う行動を避けたい」空気

日本では、公共空間で目立つ行動をすると、必要以上に浮いてしまうのではないかと心配になる傾向があります。電車の中での通話や大声などが敬遠される文化的背景もあり、「みんなと同じであること」が安心感につながりやすいのです。
その意味で、公園で音楽を流しながら一人で踊る、あるいは数人で大きく体を動かすという行為は、多くの人にとって日常から離れた「目立つ行為」として認識されやすくなります。これが、公園でのダンス練習に対するハードルを上げる一因です。

ただし近年は、YouTubeやSNSの影響もあり、ストリートダンスやK-POPカバーダンスを公園で練習する人は確実に増えています。以前よりも「公園でダンス＝特別に変なこと」という印象は薄れてきているのも事実です。周囲との「違い」を恐れ過ぎず、「公共のマナーを守りながら趣味を楽しむ一人」として位置づける視点が大切になります。

公園でダンスの練習をするメリットとデメリット

恥ずかしさはあるものの、公園でダンスを練習することには、スタジオでは得られにくい大きなメリットもあります。一方で、環境的なデメリットやリスクもあるため、両方をバランスよく理解しておくことが重要です。
ここでは、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、ロッキン、ジャズコンテンポラリー、タップなど、ジャンルを問わず共通するポイントに焦点を当てて整理します。自分のライフスタイルや練習目的に合わせて、公園練習をどう取り入れるかを考えるための材料にして下さい。

特に、費用面や時間面の制約がある学生や社会人ダンサーにとって、公園は「継続的に練習するための現実的な選択肢」となり得ます。その一方で、騒音や安全面、天候といった外的要因は避けて通れません。これらを踏まえた上で、メリットを最大化しデメリットを抑える工夫を見ていきましょう。

公園練習の主なメリット

公園練習の最大のメリットは、「広いスペースを低コストで確保できること」です。スタジオのレンタル料金や会員費を気にせず、思い切りステップやトラベリング、ジャンプ系の練習ができます。特にハウスやロッキン、ジャズのトラベリングコンビネーションなど、縦横に大きく動きたいジャンルには大きな利点です。
また、屋外での練習は体力面の強化にもつながります。風や地面のコンディションといった変化のある環境で踊ることは、バランス感覚や体の安定性を養う良いトレーニングになります。ステージやイベントが屋外で行われるケースもあるため、本番に近い環境でのリハーサルとしても有効です。

さらに、時間帯を選べば、自分のペースで集中して練習できる点も魅力です。振り付けを何度も繰り返したり、苦手なアイソレーションを地道に行ったり、スタジオでは遠慮しがちな「同じ動きをひたすら繰り返す練習」にも向いています。経済的にも心理的にも、継続しやすい環境を作りやすいのが公園練習の強みです。

デメリットとリスク要因

一方、公園練習には無視できないデメリットも存在します。まず挙げられるのが「天候」に左右されることです。雨や強風、極端な暑さ寒さは、練習の継続性を阻害します。また、地面が土や芝生の場合は滑りやすかったり、足首や膝に負担がかかるリスクもあります。
さらに、騒音の問題や、ボール遊び・ランナー・子どもなど、他の利用者との接触リスクも考慮が必要です。特に音楽をスピーカーで流す場合は、近隣住民や他の利用者とのトラブルにつながる可能性があるため、音量や時間帯には細心の注意が求められます。

もう一つのデメリットは、設備面の不足です。鏡がないためフォームのチェックがしにくく、暗くなると照明も限られます。また、荷物置き場や着替えスペースも不十分で、防犯面も自分で配慮しなければなりません。これらの要素を踏まえ、事前の準備と工夫によって、デメリットをどこまで軽減できるかがポイントとなります。

スタジオ練習との比較

スタジオと公園、それぞれの特徴を整理すると、自分の練習目的に応じて使い分ける戦略が立てやすくなります。以下の表に、代表的な比較ポイントをまとめます。

基礎のフォームチェックや作品づくりの細かい調整はスタジオの方が向いていますが、体力づくりや振りの反復、スペースを使った大きな動きの確認には公園が有効です。どちらか一方にこだわるのではなく、自分の課題ごとに場所を使い分けることで、効率的な上達につながります。

恥ずかしさを減らすための公園選びと時間帯の工夫

恥ずかしさを和らげるためには、メンタルだけでなく「環境をデザインすること」が非常に有効です。同じ公園でも、場所や時間帯を工夫するだけで、人目の多さや視線の感じ方は大きく違ってきます。
ここでは、公園を選ぶ際のチェックポイントや、恥ずかしさを最小限に抑えられる時間帯の選び方を解説します。また、視線が気になりにくいポジション取りや、地面の種類など、実際のダンサーが重視しているポイントも具体的に紹介します。

環境を味方につけることは、特に公園練習を始めたばかりの人にとって、継続できるかどうかを左右する重要な要素です。いきなり人通りの多い中心広場で踊る必要はありません。段階的に負荷を上げるイメージで、自分に合った環境を見つけていきましょう。

人目が少ない場所の見つけ方

まず意識したいのは、「公園の中でもエリアごとに人の流れが違う」という点です。入口付近や遊具の周り、ベンチが集まる広場は人通りが多く、視線も集中しやすい傾向にあります。一方、少し奥まった広場や、ジョギングコース脇の開けたスペース、バスケットコートの横などは、比較的人の流れが落ち着きやすいエリアです。
実際に候補の公園をいくつか歩いてみて、「通行人の視線が自分に向きやすいか」「一定時間誰にも話しかけられずにいられそうか」を体感的にチェックしてみると良いでしょう。また、地面がフラットで段差が少ない場所を選ぶことも重要です。足への負担だけでなく、つまずいた時のケガのリスクも抑えられます。

最近は地図アプリやストリートビュー機能などで、ある程度の環境を事前に確認することもできます。トイレや水飲み場、照明の位置も合わせてチェックしておくと、長時間の練習を想定したプランニングがしやすくなります。

おすすめの時間帯と避けたい時間帯

同じ公園でも、時間帯によって利用者の層や混雑具合は大きく変わります。恥ずかしさを抑えたい場合におすすめなのが、早朝や夜の時間帯です。早朝はランナーや犬の散歩が中心で、長く立ち止まって見る人が少ないため、一定の距離感を保ちやすい傾向があります。
夜も人通りは減りますが、防犯面や照明の明るさには十分注意が必要です。照明がしっかり整備されている広場や、周囲に住宅があり過ぎないエリアを選ぶと良いでしょう。一方で、昼間の土日や祝日は、家族連れや子どもが多く、視線を感じやすいだけでなく、安全面でも注意が必要な時間帯です。

また、学校の登下校時間や通勤ラッシュに重なる時間帯も、人通りが増えやすくなります。慣れるまでは、まず人が少ない時間帯に短時間から始め、徐々に慣れてきたら日中にもトライしてみる、といったステップアップ方式をとると、精神的な負担を軽減できます。

地面や照明など環境面のチェックポイント

公園練習では、「地面」と「照明」が踊りやすさと安全性に直結します。アスファルトは硬くて膝や腰への負担が大きくなりやすいですが、フラットで滑りにくいというメリットもあります。タップやハウスのフットワークには向く一方、ジャンプの多いジャズコンテンポラリーやトリック要素のあるヒップホップでは、着地の衝撃に注意が必要です。
土や芝生はクッション性がありますが、凹凸やぬかるみがあると足を取られやすく、重心移動が多いハウスやロッキンでは安定性に欠けることもあります。可能であれば、舗装されたフラットなスペースを選び、雨上がりの日は滑りやすさにも注意しましょう。

照明については、「自分が動きを確認できる明るさ」と「周囲からの見え方」をバランスよく考えることが重要です。明る過ぎると視線を強く感じやすくなりますが、暗過ぎるとフォームが確認できないだけでなく、安全面のリスクも高まります。公園の照明が届く範囲の端の方など、ほどよい明るさと距離感を両立できる場所を探してみて下さい。

恥ずかしくても続けやすい公園ダンス練習メニュー

環境を整えたら、次は実際の練習メニューです。恥ずかしさを強く感じるのは、「大きく目立つ動き」や「音楽に合わせた全力の振り付け」をいきなり行うときが多いです。最初は、周囲から見ると「ストレッチやエクササイズ」にも見えるような内容から始めると、心理的なハードルが下がります。
ここでは、公園でも取り組みやすく、なおかつ上達に直結する基礎練メニューをジャンル横断的に紹介します。音を出さなくてもできるメニューも多いため、環境に応じて使い分けてみて下さい。

ポイントは、「恥ずかしさを減らすためのメニュー」ではなく、「上達を前提にしながら恥ずかしさにも配慮したメニュー」にすることです。効率的な練習内容であることを意識すると、モチベーションも保ちやすくなります。

ウォームアップとストレッチだけの日を作る

公園練習の初期段階では、「今日はウォームアップとストレッチだけ」と割り切る日を設けるのも有効です。これなら周囲からは軽い運動やヨガのように見えるため、ダンスの本番練よりも視線を気にしにくくなります。
内容としては、首・肩・胸・腰・股関節・膝・足首の順に全身を回すアイソレーションと、前屈やランジを使ったストレッチ、軽いスクワットやカーフレイズなどの筋力トレーニングを組み合わせると良いでしょう。ジャズコンテンポラリーのために背骨のロールダウン、ハウスやロッキン向けにはふくらはぎとハムストリングの入念なストレッチが役立ちます。

こうしたメニューは、見た目には派手さはありませんが、踊りの質を底上げするうえで極めて重要です。「今日は恥ずかしさに慣れる日」として、身体のケアとメンタルの慣らし運転を同時に行うつもりで取り組むと、次のステップに進みやすくなります。

その場でできるアイソレーションと基礎ステップ

次の段階としておすすめなのが、「その場で行える基礎練習」です。移動距離が少ないため、人目をあまり引かずに済みますし、音楽を小さめに流したり、頭の中でカウントしながらでも練習できます。
具体的には、ヒップホップなら首・胸・腰のアイソレーションと、アップダウンのリズムトレーニング。ハウスならプリエを意識した軽いツーステップやサイドステップ。ロッキンならリズム取りとポイント、タップならその場でのシャッフルやフラップなどが挙げられます。ジャズやジャズコンテンポラリーであれば、プリエやタンジュ、シェネの準備となるスポット練習なども有効です。

このレベルのメニューを公園で繰り返すだけでも、スタジオでのレッスン時に「体がすぐに反応する」感覚が得られるようになります。周囲からは「リズムよく体を動かしている人」程度に見えるため、恥ずかしさも最小限で済みます。

短いコンビネーションで「見られること」に慣れる

ある程度環境と基礎練に慣れてきたら、8カウント〜16カウント程度の短いコンビネーションを取り入れていきます。ここでの目的は、「振り付けを公園で踊ることそのものに慣れる」ことです。
選ぶ振りは、全身を使うものよりも、上半身中心やフットワーク中心など、自分が比較的自信を持ちやすい要素を含むものがおすすめです。テンポも、超高速ではなく中速〜ややゆっくりめを選ぶと、丁寧に踊れるため安心感が増します。自分で振りを作っても良いですし、レッスンで習った振りの一部を抜き出しても構いません。

最初は音楽なしでカウントだけで反復し、慣れてきたらイヤホンや小さめのスピーカーで音を足していきましょう。「誰かに見られても、このくらいなら大丈夫」と思えるところまで負荷を調整しながら、一歩ずつ範囲を広げていくことがポイントです。

公園でダンスをするときのマナーとトラブル回避術

公共の場でダンスをする以上、周囲の人や近隣への配慮は欠かせません。マナーを守ることで、トラブルを防げるだけでなく、心の中の「申し訳なさ」や「後ろめたさ」も減り、結果として恥ずかしさも軽くなっていきます。
ここでは、騒音や場所の占有、撮影マナーなど、公園ダンス練習で特に注意すべきポイントを整理します。ダンサー個人の意識次第で、公園ダンスへの社会的な印象も変わっていきますので、一人ひとりが「ダンスのイメージを良くする行動」を心がけていきたいところです。

マナーを理解し実践しておけば、万が一注意を受けた場合でも、冷静に対応しやすくなります。安心して練習を続けるためにも、ここで基本的な考え方を押さえておきましょう。

音量と機材の使い方

公園でのダンス練習におけるトラブルの多くは、「音量」が原因です。音楽はダンスのモチベーションを高めてくれる一方、周囲にとってはただの騒音になり得ます。特に住宅街に近い公園や、早朝・夜間は音量への配慮が必須です。
基本的な方針として、まずはイヤホンや骨伝導イヤホンの使用を検討しましょう。一人練習や少人数でのカウント合わせであれば、スピーカーを使わなくても十分成り立つケースが多いです。スピーカーを使う場合でも、小型のものを低めの音量で使用し、20〜30メートル離れた場所でほとんど聞こえない程度を目安にすると良いでしょう。

また、公園によってはスピーカーの使用を禁止している場合もあります。入口の案内板や自治体のルールを事前に確認し、禁止されている行為には必ず従って下さい。音量を抑えることは、自分が集中しやすい環境を保つうえでも有利に働きます。

場所の占有と他の利用者への配慮

広いスペースがあるからといって、公園の一角を長時間完全に占有してしまうのは避けたい行為です。ジョギングコースや通路を塞いだり、ベビーカーや高齢者の通行を妨げる配置はトラブルのもとになります。
レジャーシートや荷物は、通行の邪魔にならない壁際や植え込みの手前などに寄せ、ダンスするスペースも人の流れを遮らない位置を選びましょう。また、子どもが走り回る時間帯は、急な飛び出しや接触事故のリスクが高まるため、特に注意が必要です。「自分たちが練習している場所に他の人を近づけさせない」という発想ではなく、「他の利用者が自然に動きやすいラインを確保する」という考え方を持つと良いでしょう。

もしボール遊びやスケートボードなど、他のアクティビティをしている人とスペースが重なりそうな場合は、軽く会釈や声かけをして、お互いの安全を確認し合うとトラブルを未然に防ぎやすくなります。

撮影やSNS投稿時に気をつけたいこと

練習の記録や作品制作のために、公園でのダンスを撮影する人も増えていますが、その際には周囲の人のプライバシーへの配慮が欠かせません。無意識のうちに通行人や子どもが映り込んでしまい、そのままSNSに公開すると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
撮影時は、なるべく背景に一般の利用者が映り込まない角度や位置を選び、どうしても人が映る場合は、編集で顔が判別できないように加工する意識を持ちましょう。撮影機材も、三脚やスタンドを通路の真ん中に立てることは避け、転倒や接触事故のリスクを最小限に抑える配置を心がけて下さい。

また、「ここは撮影禁止です」といった表示がある場所では、ダンスに限らず動画撮影自体を控える必要があります。マナーを守ることは、安心して撮影と発信を続けるための最低条件と考えましょう。

メンタル面から恥ずかしさを和らげる具体的なコツ

環境やマナーの工夫に加えて、メンタル面でのアプローチも非常に重要です。恥ずかしさはゼロにする必要はありませんが、「感じても行動は止めない」レベルまで落とせれば、公園練習は十分に成立します。
ここでは、プロダンサーやインストラクターも実践している、視点の切り替え方やセルフトーク、段階的な慣らし方などを紹介します。精神論だけでなく、実際に試せる具体的なテクニックに落とし込んで解説していきます。

心の持ち方を整えることは、公園だけでなく、ステージ本番やオーディション、ショーケースなど、あらゆる「人前で踊る場面」に共通して役立ちます。練習の場でメンタルも一緒に鍛えていきましょう。

視線の捉え方を変えるセルフトーク

恥ずかしさがピークに達するのは、「周りの人が全員、自分のダンスを批判的に見ているのではないか」という思い込みが強くなった時です。これに対して有効なのが、セルフトークを使った視点の切り替えです。
例えば、公園で誰かの視線を感じたら、「今この人は、ただ珍しいものを一瞬見ているだけ」「数秒後には自分の世界に戻る」と心の中で言い換えてみて下さい。また、「自分が誰かの練習している姿を見た時、どう思うか」を思い出すのも有効です。多くの場合、「頑張っているな」「すごいな」と感じこそすれ、細かく批判することはほとんどないはずです。

セルフトークは習慣化することで効果が高まります。公園に向かう道すがら、「今日はただ、昨日より一歩だけ踏み出せればOK」「見る人が一人でも二人でも、自分は練習を続ける」といった、自分を励ます言葉を繰り返すのも有効です。

友人と一緒に練習するメリット

一人で公園に行くのがどうしてもハードルが高い場合は、同じダンス仲間や友人と一緒に練習するのも良い方法です。人数が増えることで、周囲からは「サークル活動」や「チーム練習」として見えやすくなり、個人に向かう視線が分散します。
また、友人と声をかけ合いながらウォームアップしたり、振りの確認をし合うことで、恥ずかしさよりも「練習に集中する感覚」が優先されやすくなります。特に、同じジャンルのダンサー同士であれば、互いの課題を指摘し合ったり、その場でコンビネーションを作ったりと、公園練習の質も高めやすくなります。

ただし、大人数になり過ぎると、スペースの占有や騒音の面で他の利用者への影響が大きくなります。2〜4人程度の少人数から始め、マナーを守りながら行うことが重要です。

少しずつステップアップする「慣れ」のプロセス

恥ずかしさは、一度のチャレンジで劇的に消えるものではありません。むしろ、「少し恥ずかしいけれど、できた」という経験を何度も積み重ねることで、少しずつ感覚が鈍感になっていきます。このプロセスを意識的に設計することが大切です。
例えば、最初の一週間は「ストレッチとアイソレーションだけ」、次の一週間は「短いコンビネーションを音なしで」、その次は「音を小さく流して振りを通す」など、段階に応じて負荷を上げていきます。各段階で、「これなら続けられそう」と感じるレベルに調整することがポイントです。

途中で「今日はどうしても人目が気になる」と感じる日があれば、その日は無理に負荷を上げず、ウォームアップだけで切り上げても構いません。大切なのは、公園に足を運ぶ行動自体を止めないことです。行動を継続している限り、慣れは必ず進んでいきます。

ジャンル別に見る公園ダンス練習のポイント

最後に、代表的なダンスジャンルごとに、公園で練習する際のポイントや注意点を簡潔に整理しておきます。同じダンスでも、床との相性や必要なスペース、音の出方などが異なるため、自分のジャンルに合った工夫が必要です。
ここでは、ジャズダンス、ヒップホップ、ジャズコンテンポラリー、ハウス、ロッキン、タップを中心に、それぞれの特性に即した公園練習のポイントを解説します。

ジャンルごとの特徴を理解しておくことで、公園選びやメニュー組み立ての精度が上がり、ケガやトラブルのリスクを減らしながら効率的に上達を目指せます。

ジャズ・ジャズコンテンポラリーの場合

ジャズやジャズコンテンポラリーは、ターンやジャンプ、床を使ったムーブなど、床環境に強く影響を受ける要素が多いジャンルです。アスファルトでの高いジャンプや連続ターンは、膝や足首への負担が大きくなるため、公園では「プレパレーションの確認」「上半身のライン作り」「スローテンポでのコントロール」にフォーカスするのがおすすめです。
具体的には、プリエとルルベを繰り返し、重心の上下を丁寧にコントロールする練習や、アームスのポジションを鏡なしで再現するトレーニングが有効です。フロアワークは、地面の硬さや汚れ、ケガのリスクが高い場合が多いため、公園では避けるか、ヨガマットなどを用意したうえで限定的に行うと良いでしょう。

音楽を使う場合は、バラードや中速の曲を選び、呼吸と動きのつながりを丁寧に感じる練習を行うと、公園ならではの開放感も活かしやすくなります。

ヒップホップ・ロッキンの場合

ヒップホップやロッキンは、公園との相性が比較的良いジャンルです。アップダウンのリズムトレーニングやグルーヴ、トップロック、ロックのポイントなどは、その場や小さなスペースでも十分に練習できます。
公園では、まずアイソレーションとリズムトレーニングに比重を置きつつ、簡単なルーティーンで「音楽と一体になる感覚」を養っていくと良いでしょう。ロッキンの場合は、アスファルト上でのスライドやジャンプ系のトリックは、膝や足首への負担を考慮して慎重に進めて下さい。

また、ヒップホップはストリートカルチャーと関わりが深く、公園やストリートでの練習そのものがジャンルの歴史の一部でもあります。その背景を知ることで、「公園で練習する自分」をポジティブに捉えやすくなるかもしれません。

ハウス・タップの場合

ハウスは足さばきが細かく、重心移動も多いジャンルのため、フラットで滑りにくい地面を選ぶことが特に重要です。アスファルトが最も現実的ですが、凹凸や砂利が少ない場所をよく確認してから練習しましょう。
公園では、ベーシックステップやフットワークの重心移動を中心に練習し、大きなトリックや回転系はスタジオに回す、といった役割分担が有効です。タップの場合は、音が大きく出るため、公園での練習は特に音量と時間帯に注意が必要です。専用の板を持ち込んで足への負担と音の響きをコントロールしているダンサーもいますが、周囲の環境ルールに従うことが大前提となります。

どちらのジャンルも、「その場で足だけを動かす練習」「上半身のリラックスを保つ練習」など、公園でも実施可能なメニューは多く存在します。工夫次第で、基礎力を大きく伸ばす場として活用できるでしょう。

まとめ

公園でダンスの練習をする際に感じる「恥ずかしさ」は、多くのダンサーが共有しているごく自然な感情です。その正体は、人目を気にする心理や「下手だと思われたくない」という評価不安であり、自分だけの問題ではありません。
しかし、環境選びや時間帯の工夫、段階的なメニュー設定、マナーの徹底、セルフトークによる視点の切り替えなどを組み合わせることで、その恥ずかしさは確実に和らげることができます。公園は、広いスペースと低コストという大きなメリットを持ち、基礎練習や体力づくりには非常に適した場所です。

大切なのは、「完璧に恥ずかしさを消してから始める」のではなく、「恥ずかしさを抱えたままでも続けられる環境と方法」を見つけることです。一歩踏み出してみれば、公園での練習は必ずあなたのダンスの厚みと自信につながっていきます。今日の小さな一歩が、数か月後、数年後の大きな成長につながることを意識しながら、自分のペースで公園練習を取り入れてみて下さい。