クラシックバレエでは、足や腕の位置、姿勢の一つ一つに厳密な名称が付いています。
この「型の名前」を理解しているかどうかで、レッスンの吸収スピードや振付の覚えやすさは大きく変わります。
本記事では、バレエ入門者から大人リスタート、さらには他ジャンルのダンサーまでを対象に、基本のポジション名から代表的な型、よく使われるフランス語の呼び方までを体系的に解説します。
教室のレッスンや動画学習の予習・復習に、ぜひ役立ててください。
目次
バレエ 型 名前の基礎知識と覚え方
まずは「バレエの型の名前」とは何を指すのか、その全体像を整理しておきます。バレエでは、足の置き方や腕の形、体の向きなど、一つひとつの形に固有の名称があり、これらは多くがフランス語で呼ばれます。
振付は、それらの型を組み合わせた「文法」で成り立っているため、型の名前を覚えることは、バレエという言語を学ぶような行為だと考えると理解しやすくなります。
また、名称を知らないままなんとなく形を真似していると、先生の指示が聞き取れなかったり、注意された内容が頭に残りにくくなります。逆に、名前と形が結びつくと、「今はこのポジション」「次はこの型」と頭の中が整理され、体も動かしやすくなります。この章では、そんなバレエの型の名前を、効率よく覚えるための基本的な考え方を解説します。
バレエにおける「型」とは何か
バレエでいう「型」とは、単なるポーズではなく、動きの途中も含めた「正確な配置」を意味します。足と膝、骨盤、背骨、頭の位置、そして腕や指先まで、全てが決められたラインに沿ってそろうことで、美しいシルエットと安定したバランスが生まれます。
例えば、アラベスクと一口に言っても、どのポジションから出したアラベスクなのか、上体はどの向きか、腕の高さはどうかによって、型としての完成度は変化します。そのため、型は「静止画的なポーズ」ではなく、「音楽の中で保たれる形」と捉えるとよいでしょう。
この考え方は、クラシックバレエだけでなく、ジャズやコンテンポラリー、ヒップホップのアイソレーションにも応用できます。体のどこを固定し、どこを動かすのかを意識する力が身につくことで、他ジャンルのダンスでも軸の通ったムーブがしやすくなります。バレエの型は、全てのダンスの基礎トレーニングと言えるほど汎用性の高い体系です。
フランス語の名前が多い理由
バレエの型の名前にフランス語が多いのは、バレエが宮廷芸術としてフランスで大きく発展し、用語体系がそこで整えられたためです。イタリア発祥の要素もありますが、現在世界中のバレエ教育で使われる用語は、フランス語をベースとしたものが主流です。
例えば、プリエ(曲げる)、タンデュ(伸ばす)、デガジェ(離す)、ルルベ(持ち上げる)など、動作の意味がそのまま名称になっています。型やポジション名も同様で、アラベスク(アラビア風装飾)、アチチュード(姿勢)、クロワゼ(交差した)など、意味を知るとイメージしやすくなります。
フランス語に慣れないうちは、カタカナ表記と日本語の意味をセットで覚えると、定着が早まります。レッスンでは先生の発音に耳を慣らしつつ、自分のノートには読みやすいカタカナと意味をメモしておくと良いでしょう。発音が多少違っても、意味と形が一致していればコミュニケーションは取れますので、まずは恐れずに口に出して使うことが大切です。
名前を効率よく覚えるコツ
バレエの型の名前を効率よく覚えるには、単語だけを暗記するのではなく、「グループ化」して関連づけることが重要です。例えば、足のポジションは第1〜第5ポジションまでのセット、腕も同じく第1〜第5と準備ポジションを一塊として覚えます。さらに、姿勢(エカルテ、クロワゼなど)、ポーズ(アラベスク、アチチュードなど)とカテゴリー別に整理していくと頭に入りやすくなります。
もう一つのコツは、必ず実際の動きと一緒に覚えることです。言葉だけで覚えると混乱しやすくなりますが、「ルルベと言われたらかかとを上げる」「アラベスクと言われたら片脚を後ろに伸ばす」といったように、体とセットで記憶することで、レッスン中も瞬時に反応しやすくなります。
また、レッスン後にその日出てきた用語をメモし、簡単な図やシルエットを書き添えるのも有効です。最近は動画教材やオンラインレッスンも普及しているため、自分のノートと画面の動きを対応させながら復習すれば、名称と型の結び付きがさらに強くなっていきます。
足のポジションの型の名前と特徴
クラシックバレエで最も基本となるのが、足の5つのポジションです。これは全ての動きの出発点であり、また終着点でもあります。バー・レッスンでもセンターでも、先生の指示は「第5からタンデュ」「第2でプリエ」など、足のポジション名を起点に出されます。
足のポジションは、単に足の置き場所だけでなく、ターンアウト(外旋)の度合い、重心の位置、骨盤の向きなどが密接に関わるため、名前とセットで正しい形を理解しておくことがとても重要です。
ここでは、第1ポジションから第5ポジションまで、それぞれの名称と特徴、初心者がつまずきやすいポイントを具体的に解説します。特に大人から始めた方は、無理なターンアウトはケガにつながるため、型を守りつつも体に合った範囲で行うという視点もあわせて確認していきましょう。
第1ポジションの型と名前の意味
第1ポジションは、かかと同士をつけ、つま先を左右に開いた基本の立ち方です。両足が同じ角度で外側に開かれ、理想的には一直線状に近い180度を目指しますが、実際には股関節の可動域に合わせた安全な範囲で行うことが重要です。
このポジションでは、膝とつま先が同じ方向を向いているか、骨盤が前後に傾いていないかがチェックポイントになります。上半身は引き上がり、尾骨を軽く下に伸ばす意識を持つと、重心が安定しやすくなります。
名称としては単に「プレミエ・ポジション」と呼ばれ、フランス語の「第一」という意味に対応しています。最も基本的な立ち方でありながら、軸の取り方や体幹の使い方がはっきり表れるため、プロのダンサーほど第1ポジションを丁寧に作ると言われます。初心者のうちは、180度にこだわるよりも、膝とつま先の方向が揃っているかを優先するとよいでしょう。
第2ポジションの特徴と使い方
第2ポジションは、第1ポジションの足幅を左右に開いた形です。かかととかかとが肩幅よりやや広いくらいに離れ、つま先は同じく外側へ向きます。重心は両足の中央にあり、膝を曲げたプリエでは体重が内側に入りすぎないように注意します。
このポジションは、プリエの練習やジャンプの着地など、多くのシーンで使われます。足幅を広く取ることで、重心が下がりやすく、バランスも安定しやすいため、初心者にも比較的取り組みやすい型です。特にグランプリエやグランバットマンの準備姿勢として重要な役割を持ちます。
名称は「セゴン・ポジション」で、フランス語の「第二」に相当します。使い方としては、バー・レッスンでは、タンデュ・デガジェ・ロンデジャンブなど、多くのエクササイズの起点・終点として登場します。上体の引き上げを保ちながらも股関節を大きく使う練習に向いており、正しい第2ポジションを身につけることで、脚さばき全般がスムーズになります。
第3・第4・第5ポジションの違い
第3ポジションは、片足のかかとをもう一方の足の土踏まずあたりに重ねる形、第4ポジションは前後に足をずらした状態で第1か第5のように開いた形、第5ポジションは両足のかかととつま先を完全に重ね合わせる最もタイトなポジションです。
名称としては、それぞれトロワジエム、キャトリエム、サンクィエム・ポジションと呼ばれます。第3は子どもや初心者の指導で用いられることが多く、プロの舞台や上級クラスでは、第4と第5が主に使われます。第4にはオープンとクローズのバリエーションがあり、足のかぶり方によって見え方が変わります。
違いを整理するために、簡単な表にまとめます。
| ポジション名 | 足の重なり方 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 第3ポジション | かかとが土踏まず付近 | 入門・児童クラスの導入 |
| 第4ポジション | 前後に開き、かかととつま先が少し重なる | ピルエット、グランジャンプの準備 |
| 第5ポジション | かかととつま先が完全に重なる | クラシック全般の基準ポジション |
第5ポジションは最も難度が高く、ターンアウト、内転筋、体幹の総合的なコントロールが求められます。大人から始めた場合は、無理をせず、第3に近いゆるめの第5から段階的に詰めていくと安全です。
腕のポジションの型と呼び方
足のポジションと同じくらい重要なのが、腕の型の名前です。腕のポジションは、上半身のラインやバランス、動きの方向性を視覚的に決定づけます。バレエの流派によって名称や形に多少の違いはありますが、共通する基本概念を押さえておけば、多くの場面で対応できます。
ここでは、準備ポジションから第1〜第5ポジションまで、代表的な腕の型と呼び方を整理し、それぞれの特徴や注意点を解説します。腕は力みやすい部分ですが、名称と正しい形を理解することで、よりしなやかで美しいラインが作れるようになります。
アン・バー(準備ポジション)
アン・バーは、いわゆる準備ポジションと呼ばれる腕の型で、両腕を体の前の低い位置に丸く構えます。手は体からこぶし一つ分ほど離し、指先はおへそより少し下あたりを柔らかく指すイメージです。肘は落ちすぎず、肩からなだらかなカーブを描きます。
名称のアン・バーは「下に」という意味で、バー・レッスンの最初や、踊りの冒頭・終わりの姿勢として多用されます。よくある誤りは、手だけを下げて肩が前に入り、背中が丸くなってしまうことです。背中を広く保ち、肩甲骨を引き下げる意識を持つと、腕が体から独立して見えるようになります。
アン・バーを正しく保てると、そこから第1、第2、第5への移行もスムーズになります。全ての腕のポジションの起点となるため、「ただ下げているだけ」ではなく、常に音楽を感じる生きたポジションとして意識することが大切です。
第1・第2ポジションの腕の形
第1ポジションの腕は、アン・バーよりやや高い位置、みぞおちの前あたりで丸く保ちます。肘は体の横よりわずかに前方に出し、手のひらは自分の方を向けるイメージです。肩が上がらないように注意しながら、脇には空間を残しておきます。
第2ポジションは、腕を左右に開いた形ですが、完全な一直線ではなく、やや前方にカーブさせます。肘は軽く持ち上げ、手首と指先は柔らかく下がりすぎないようにします。よくある間違いは、腕を後ろに引きすぎて胸が開きすぎること、あるいは肘が落ちてだらりとしてしまうことです。
名称としては、プレミエ・ポジション・ドゥ・ブラ(腕の第1ポジション)、セゴン・ポジション・ドゥ・ブラ(腕の第2ポジション)と呼びます。足のポジションと組み合わせて、「第2の腕で第5の足」などと指定されることも多いため、両方の名称をセットで理解しておくと、レッスン中の指示が格段に聞き取りやすくなります。
第3・第4・第5ポジションのバリエーション
腕の第3ポジションは、一方の腕を第1、もう一方を第2にした非対称の型です。第4ポジションは、一方が第1、もう一方が第5、あるいは一方が第2、もう一方が第5のバリエーションがあり、流派によって細かな違いがあります。第5ポジションは、両腕を頭上に丸く掲げた形で、クラシックバレエらしい華やかさを象徴するポジションです。
名称は、それぞれトロワジエム、キャトリエム、サンクィエム・ポジション・ドゥ・ブラと呼ばれます。第5ポジションでは、腕を高く上げるあまり肩が耳に近づきがちですが、首筋を長く保ち、肩を下げてスペースを作ることが重要です。手は頭の真上ではなく、額の少し前に楕円を描くような位置に保つと、美しいシルエットになります。
第3・第4の非対称ポジションは、回転やポーズで方向性を示す役割を持ちます。左右の腕が違う高さにあることで、上半身にダイナミックなラインが生まれ、舞台上での存在感が増します。型の名前と形を対応させて覚えておくことで、振付家や先生の指示に対して、より繊細にニュアンスを表現できるようになります。
基本の姿勢・ポーズの型の名前
足と腕のポジションが「文字」だとすれば、姿勢やポーズの型の名前は「単語」にあたります。アラベスクやアチチュードといった代表的なポーズは、クラシック作品からバレエテクニックを取り入れたジャズダンスに至るまで、非常に多くの場面で登場します。
ここでは、まず押さえておきたい代表的な姿勢・ポーズの名称と、その特徴を解説します。特に、後ろ脚の高さや上体の傾き、視線の方向など、言葉だけでは伝わりにくい要素も、ポイントを整理しながら説明していきます。
アラベスクの種類と名前
アラベスクは、片脚で立ち、もう一方の脚を後方に大きく伸ばしたポーズです。クラシックバレエでは、オペラ座方式やロシア方式など流派により番号付けや細かな形が異なりますが、基本となる考え方は共通しています。
アラベスクでは、立っている軸脚の安定、後ろに伸ばした脚のライン、そして腕と上体のバランスが重要です。脚の高さは45度、90度、さらにはそれ以上とレベルに応じて変化しますが、高さ以上に、骨盤がねじれず、上体が沈まないことが求められます。視線の方向も、ポーズ全体の印象を左右する重要な要素です。
名称の由来は、アラビア風の装飾文様を意味する言葉で、複雑で流麗なラインを連想させます。ジャズダンスやコンテンポラリーでも、アラベスクのラインを応用した振付は非常に多いため、クラシックの型としてだけでなく、全ジャンル共通の「美しい後ろ脚のポーズ」として身につけておく価値があります。
アチチュードの特徴
アチチュードは、片脚で立ち、もう一方の脚を前方または後方に上げ、膝をゆるやかに曲げた姿勢です。後ろに上げるアチチュード・デリエール、前に上げるアチチュード・ドゥヴァンが代表的なバリエーションです。
アラベスクとの大きな違いは、上げた脚の膝がしっかりと曲がっていることです。ただし、膝が潰れてしまうのではなく、太ももから持ち上がり、すねから足先にかけては優雅なカーブを描きます。骨盤の向きと腰の位置を保つことが難しく、軸脚の臀部や体幹の力が特に重要になります。
アチチュードという言葉は「姿勢」「態度」を意味し、踊り手の個性や音楽性を表現しやすいポーズでもあります。クラシックでは、優雅で柔らかな雰囲気を作る場面によく用いられ、ジャズやコンテンポラリーでは、よりダイナミックなラインとして発展させることも多い型です。
クロワゼとエカルテなど方向を示す型
クロワゼやエカルテといった言葉は、足や腕の位置そのものというより「体の向きとラインの関係性」を示す名前です。クロワゼは「交差した」、エカルテは「開かれた」という意味で、観客に対して体がどのように向いているかを表します。これらはポーズ名やジャンプ名と組み合わされて使われます。
例えば、「クロワゼ・ドゥヴァン」といえば、観客から見て立ち脚と働いている脚が交差している状態で前脚が出ていることを指します。一方、「エカルテ・ドゥヴァン」は、体が斜めに開きながら前方に脚を伸ばしている型です。このように、同じタンデュでもクロワゼかエカルテかで、見え方が大きく変わります。
方向の名称に慣れてくると、先生の指示をより具体的にイメージできるようになり、自分でも鏡を見ながら調整しやすくなります。体の向き、腕の位置、脚のラインを総合的に捉える練習として、ポーズ名と方向の名前をセットで学ぶことが大切です。
よく使われるステップの型の名前
バレエのレッスンや振付で頻繁に登場するのが、プリエ、タンデュ、ジュテ、ピルエットといったステップ名です。これらは単なる動きの呼び方ではなく、体重移動や足さばき、回転技術などの核となる「型」を含んだ名称です。
この章では、初級〜中級レベルで必須となる代表的なステップ名を取り上げ、その動きの要点と、他ジャンルへの応用の観点も交えながら解説します。
プリエ・タンデュ・デガジェの基礎
プリエは「曲げる」、タンデュは「伸ばす」、デガジェは「離す」という意味で、いずれもバー・レッスンの序盤で行われる基本エクササイズです。プリエは膝を曲げる動きですが、ただ座り込むのではなく、足の裏全体で床を押し続ける感覚が重要です。
タンデュでは、足先を床に沿わせて前・横・後ろに伸ばし、指先までエネルギーを通します。デガジェはタンデュからさらに足先を床からわずかに離し、よりシャープなアクセントをつける動きです。いずれも、股関節から動かすこと、骨盤を安定させることが共通のポイントになります。
これらの型は、ジャズやヒップホップにおけるキックスやスライドの土台にもなります。足元のコントロールと体重移動の精度を高めることで、どのジャンルでもブレの少ないキレのある動きが可能になります。名称と形をしっかり身につけることで、レッスンメニューの意図も理解しやすくなります。
ジュテ・グランバットマンなど脚の打ち出し
ジュテは「投げる」、バットマンは「打つ」を意味し、脚を鋭く打ち出す動きを指します。小さなジュテやジェテ・バットマン、さらに大きく振り上げるグラン・バットマンなど、レベルに応じたバリエーションがあります。
グラン・バットマンでは、脚の高さだけを追い求めると、腰が反りすぎたり、上体が後ろに倒れてしまいがちです。軸脚の安定、腹筋と背筋の拮抗、そして股関節から大きく動かす意識により、安全かつダイナミックなラインが生まれます。床を押してから脚が上がる「プレパレーション」の型も含めて覚えると、動きがつながりやすくなります。
名称としては、「グラン・バットマン・ドゥヴァン(前)」「ア・ラ・セゴンド(横)」「デリエール(後ろ)」など、方向の言葉とセットで使われます。方向語と組み合わせて理解することで、言葉だけを聞いても明確に動きがイメージできるようになります。
ピルエットなど回転の名前
ピルエットは「回転」を意味する代表的なターンの名称で、片脚で立ち、もう一方の脚をパッセ(ルティレ)にして回転する型が基本です。ピルエット・アン・ドゥダン(内回り)、アン・ドゥオール(外回り)といった呼び分けがあり、出発のポジションや腕の形によってもバリエーションが生まれます。
回転技術では、スポット(目線の付け方)、軸の引き上げ、足と腕のタイミングが重要です。名称に含まれる「アン・トゥールナン」などの用語も、回転を含む動きを示す言葉として覚えておくと役に立ちます。
ピルエットの型と名前を理解しておくことで、ジャズダンスやハウス、ロッキンでのターンにも応用が利きます。どのジャンルでも、回転時のバランスとコントロールは共通の課題であり、バレエのピルエットはそのための優れたトレーニングメソッドとなります。
子ども・大人初心者が覚えるべき型の名前リスト
膨大な数のバレエ用語の中から、最初の段階でどこまで覚えるべきかは、多くの方が迷うポイントです。特に子どもや大人の初心者にとっては、用語の多さ自体がハードルに感じられることも少なくありません。
この章では、初級段階で優先的に押さえておきたい型の名前を整理し、年代別の学び方の違いや、覚え方の工夫についても解説します。
最初に絶対覚えておきたい型の名前
入門〜初級レベルでまず覚えたいのは、次のような型の名前です。
- 足のポジション:第1〜第5ポジション
- 腕のポジション:アン・バー、第1〜第5ポジション
- 基本動作:プリエ、タンデュ、デガジェ、ロン・ドゥ・ジャンブ
- 姿勢:アラベスク、アチチュード(概要だけでも)
- 方向:ドゥヴァン(前)、ア・ラ・セゴンド(横)、デリエール(後ろ)
これらはほぼ全てのレッスンで繰り返し使われるため、自然と耳に馴染みやすい用語でもあります。最初から完璧に覚えようとするのではなく、「レッスンで出てきた名前を、その都度意味と形と一緒に整理していく」姿勢が大切です。
型の名前を意識しながらレッスンを受けることで、先生の注意も「第2の腕をもう少し広げる」「第5の足を閉じて」など、より具体的に理解できるようになり、上達スピードが上がります。
子ども向けと大人向けでの教え方の違い
子どもの場合は、用語の正確な発音よりも、「形のイメージ」と結びつけて楽しく覚えることが優先されることが多いです。例えば、「お花を抱える腕が第1」「大きく翼を広げるのが第2」など、視覚的なイメージや物語と関連付けて教えます。一方、大人の場合は、言葉の意味や解剖学的な説明がある方が理解しやすく、納得感も高まります。
また、大人は仕事や生活で使う言語能力が高いため、フランス語の意味や略語、流派の違いなども比較的スムーズに吸収できます。その反面、体の柔軟性や筋力に制限があることも多いため、「名前は知っているけれど理想の形まではできない」というギャップとどう付き合うかが課題になります。
どちらの年代でも共通して大切なのは、「完璧な形でできなくても、名前と方向性を知っていること」に価値があるという視点です。型の名前を理解していることで、自分の成長を段階的に捉えやすくなり、レッスンへのモチベーションも維持しやすくなります。
ノートやチェックリストを使った学習法
型の名前を効率的に身につけるには、レッスン外の時間での工夫も有効です。おすすめは、自分専用の「バレエノート」やチェックリストを作る方法です。そこに、覚えたい用語をカテゴリー別に書き出し、横に簡単な日本語訳やイラスト、注意ポイントをメモしていきます。
例えば、「足のポジション」のページ、「腕のポジション」のページ、「ステップ名」のページと分けて整理すると、復習の際に頭の中も整理されやすくなります。習得度合いに応じてチェックボックスをつけ、「意味が分かる」「形も作れる」「先生の指示を聞いて即座に動ける」といったランクを自分なりに設定するのも効果的です。
スマートフォンのメモアプリやスプレッドシートを使っても構いませんが、手で書くことで記憶への定着が高まるという利点もあります。動画レッスンなどを併用している場合は、用語と実際の動きを対照させながらメモを更新していくことで、自分だけのバレエ辞書が完成していきます。
型と名前を覚えるときの注意点とよくある誤解
型の名前を学び始めると、「用語ばかりに気を取られて動きが硬くなる」「流派によって少しずつ呼び方が違い混乱する」といった悩みが出てきます。また、ネットや動画で得た情報と、実際に通っている教室の指導が微妙に違って見える場合もあり、どれが正しいのか不安になることもあるでしょう。
この章では、型と名前の学習で陥りがちな誤解と、その対処法を解説します。
名称と形が一致しないまま進まないこと
レッスンで先生の真似をしているうちに、なんとなく動きだけはできるようになっても、名称と形が一致していないと、応用や自己練習が難しくなります。例えば、「いつもやっているあの足の動き」が、実はタンデュなのかデガジェなのか、あるいはロン・ドゥ・ジャンブなのかが曖昧なままだと、注意されたポイントも記憶に残りにくくなります。
とはいえ、全てを一度に完璧にする必要はありません。大切なのは、「この動きは名前が分からないから、あとで先生に聞いてみよう」「ノートにメモしておこう」といった意識を持ち続けることです。分からない名称をそのままにせず、一つずつ言葉と形を紐づけていく地道な作業が、結果的に最短ルートになります。
自主練習の際には、「今日はプリエとタンデュだけを徹底的に整理する」など、テーマを絞ることも有効です。集中して一つの型と向き合う時間を持つことで、体の感覚と名称の結びつきが強くなり、レッスンでも自信を持って取り組めるようになります。
流派による呼び方の違いへの向き合い方
クラシックバレエには、ロシア系、イタリア系、フランス系、英国系など、いくつかの指導体系が存在し、それぞれで細かい名称や形が異なることがあります。例えば、腕のポジションの段階の分け方や、アラベスクの番号付けなどが代表的な違いです。
この違いに触れたときに大切なのは、「どれが正しいか」を決めつけるのではなく、「今自分が学んでいる教室や作品ではどの体系が使われているか」を理解することです。基本的な考え方や体の使い方は大きく変わるわけではないため、必要であれば、他の流派の呼び方も「別名」として併記しておくと整理しやすくなります。
オンラインで情報を集める際も、「自分の先生の説明と違う」と感じたら、そのまま混同せず、一度先生に相談してみると良いでしょう。指導者は、自身の経験に基づいて最適な体系を選んでいるはずなので、その場でのルールを尊重しつつ、必要に応じて他の情報も参考にするバランス感覚が求められます。
無理な型でケガをしないためのポイント
型の名前を覚える過程で、つい「理想の形」にこだわりすぎて無理をしてしまうことがあります。特に、180度のターンアウトや高い脚の上げ方、深いグランプリエなどは、骨格や柔軟性、筋力によって安全な範囲が人それぞれ異なります。
重要なのは、「名前がついている理想形」と「自分の今の可動域の中でのベスト」を区別して考えることです。例えば、第5ポジションを完全に重ねられなくても、膝とつま先の方向が揃っていれば、それは現時点での安全な第5として十分意味があります。徐々に筋力と柔軟性が向上すれば、自然と形も理想に近づいていきます。
痛みを我慢してまで型を真似するのは禁物です。特に股関節や膝、足首に鋭い痛みを感じる場合は、すぐに負荷を下げ、必要に応じて指導者や専門家に相談することが大切です。名前を知っているからこそ、自分の体と対話しながら、長く踊り続けられる形を選ぶ視点を持つようにしましょう。
まとめ
バレエの型の名前は、一見すると複雑で覚えにくそうに感じられますが、その多くは動きの意味や形を的確に表した言葉で構成されています。足と腕のポジション、代表的な姿勢やポーズ、基本ステップ、体の向きの用語などをカテゴリーごとに整理していくことで、少しずつ体系的な理解が進んでいきます。
名称と型が結びつくことで、レッスン中の先生の指示がクリアになり、注意された内容も記憶に残りやすくなります。また、ジャズやコンテンポラリー、ストリート系ダンスにも応用できる「体の文法」として、表現力の幅を広げてくれる大きな土台にもなります。
大切なのは、完璧さを急がず、一つ一つの型と名前を丁寧に積み重ねていく姿勢です。分からない用語が出てきたら、その都度メモを取り、先生に確認し、自分のノートやチェックリストに追加していきましょう。そうして蓄積された知識と体験が、やがて自分だけの踊りの言語となり、音楽の中で自由に表現するための確かな支えとなってくれます。
コメント