バレエやジャズダンスのレッスンで頻出するグランバットマン。意味はなんとなく分かるけれど、足が思うように上がらず、先生に注意されて悩んでいませんか。
本記事では、グランバットマンの正しい意味から、足が上がらない原因の見極め方、今日から試せる具体的なコツ、さらにストレッチや筋トレの方法まで専門的に解説します。
クラシックバレエだけでなく、ジャズやコンテンポラリーにも応用できる内容ですので、ジャンルを問わず「キレのある高い脚」を目指す方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
グランバットマン 意味 足が上がらない コツを総整理
まずは、グランバットマンという動きの意味を正しく理解し、足が上がらない原因と、改善のためのコツを整理しておきましょう。バレエ用語ではありますが、ジャズダンスやジャズコンテンポラリー、ミュージカル、ヒップホップのキックスにも共通する原理が多くあります。
意味を誤解したまま勢いだけで脚を振り上げてしまうと、股関節や腰を痛めるリスクが高まり、ダンサーとしてのキャリアにも影響します。適切なフォームと体の使い方を理解すれば、無理な柔軟性がなくても、現在より確実に脚を高く、そして美しく上げられるようになります。
ここでは「グランバットマンとは何か」「なぜ足が上がらないのか」「どうすれば高く上がるのか」という三つの軸を押さえ、この記事全体のロードマップとして整理して解説していきます。
グランバットマンの基本的な意味と目的
グランバットマンは、フランス語で「大きく打つ(投げる)」という意味を持つバレエの基礎テクニックです。バーでもセンターでも行われ、脚を前・横・後ろへ大きく振り上げる動きを指します。単に「できるだけ高く脚を上げる」ことが目的ではなく、体幹の安定、股関節の可動域、脚のスピードとコントロールを鍛えることが主な目的です。
また、ジャズやコンテンポラリーで見られるキックやハイキック、ラインダンスのような振付のベースにもなっており、全ジャンルのダンサーにとって重要な要素です。グランバットマンの習得は、脚を高く上げるという見た目の効果に加え、ピルエットやジャンプなど他の高度な動きの安定にも大きく役立ちます。
なぜ多くの人が足を高く上げられないのか
足が上がらない原因は「身体が硬いから」という一言で片づけられがちですが、実際にはもっと複合的です。股関節やハムストリングの柔軟性不足はもちろん大きな要因ですが、それだけではありません。腹筋や背筋など体幹の筋力不足、支持脚の安定性不足、骨盤のポジションの崩れ、さらには呼吸やタイミングの問題も影響します。
多くの方は、脚そのものの力で上げようとして太もも前ばかりに力が入ってしまい、逆に可動域を制限してしまっています。根本的な原因を一つずつ切り分けていくことで、自分が何を重点的に改善すべきかが明確になります。
この記事で身につく主なコツと上達イメージ
この記事では、まずグランバットマンの正しいフォームと体の意識を整理し、その上で「足が上がらない原因チェック」「柔軟性アップ」「筋力アップ」「実際の上げ方のコツ」という段階的なステップで解説します。
読むだけでなく、紹介するエクササイズを数週間継続することで、膝を伸ばしたままの脚上げの角度が上がり、踊っている時のラインも確実に変化していきます。レッスンで先生から「軸が安定した」「脚のラインがきれいになった」と言われるレベルを目標に、具体的なイメージとともに解説していきます。
グランバットマンの正しい意味と基本フォーム
グランバットマンを安全かつ効率的に上達させるためには、まず「どのような目的で、どのような形を目指す動きなのか」を明確に知ることが重要です。意味があいまいなままだと、練習を重ねても誤った筋肉の使い方がクセになり、ケガのリスクや伸び悩みにつながります。
ここでは、一般的なバレエの定義をベースに、ジャズやコンテンポラリーに応用する際にも共通するポイントを整理して解説します。クラシックバレエの厳密な形だけでなく、舞台やショーで映えるライン作りにも役立つ知識として捉えてください。
バレエにおけるグランバットマンの定義
バレエにおいてグランバットマンとは、支持脚をしっかり保ちながら、もう一方の脚をできるだけ大きく前・横・後ろに振り上げる動きです。床を通るように脚を出すデガジェやバットマンタンデュの延長線上にあり、動き自体は単純ですが、バレエの基礎が凝縮された重要な練習とされています。
膝はしっかり伸ばし、つま先まで美しく伸ばした状態で、脚を一気に上げてコントロールしながら下ろします。この過程で、股関節の外旋、体幹の安定、上半身の引き上げ、呼吸のタイミングまで総合的に身につけていきます。単なる「ハイキック」ではなく、全身のコーディネーションを鍛えるためのメソッドと理解しましょう。
基本ポジションと身体のアライメント
グランバットマンを行う際、最も優先すべきは脚の高さではなく、身体全体のアライメントです。頭からかかとまでが縦に一本の線でつながるように、背骨を長く保ち、骨盤はニュートラル、またはターンアウトの範囲内で安定させます。
支持脚の膝は伸ばし、足裏は床をしっかりと押さえる感覚を持ちます。上半身はバーに頼りすぎず、肩は下げ、首筋は長く保ちましょう。胸を張りすぎたり、腰を反らせて足の高さを稼ごうとすると、腰椎に負担がかかり、痛みの原因になります。まずは鏡で、脚を上げていない状態で美しい立ち方が保てているかを確認することが大切です。
ジャズやコンテンポラリーでの応用イメージ
ジャズやコンテンポラリーダンスでは、グランバットマンに近い動きをキック、レッグスイング、ハイデベロッペなど、さまざまな形で用います。クラシックバレエよりも骨盤の自由度を高めたり、上半身のムーブを大きく入れたりすることはありますが、股関節から脚を振り上げるという原則は共通です。
例えばジャズダンスでのハイキックでも、太もも前だけの力で上げるのではなく、骨盤の安定と体幹の引き上げが重要になります。バレエ式のグランバットマンを正しく理解しておくと、どのジャンルでも「キレとラインの両立」がしやすくなります。つまり、グランバットマンの基礎が、ダンス全般の脚技の質を底上げすると考えてください。
足が上がらない主な原因をチェックする
グランバットマンで足が上がらないと感じたとき、多くの方はすぐにストレッチを増やそうとしますが、それだけでは不十分な場合がほとんどです。柔軟性の不足に加え、筋力、バランス、身体の使い方など、複数の要素が絡み合っています。
ここでは「どこに問題があるのか」をセルフチェックできるよう、主な原因を整理します。自分の身体の状態を冷静に分析することで、トレーニングや練習の優先順位が明確になり、効率よく上達につなげることができます。
股関節やハムストリングの柔軟性不足
足が上がらない最も分かりやすい原因が、股関節周りやハムストリングの柔軟性不足です。前屈で太ももの裏が突っ張る、開脚で骨盤が後ろに倒れてしまう、足を90度より上に上げると強い痛みや抵抗を感じるといった場合、可動域が十分ではない可能性が高いです。
特に前へのグランバットマンでは、ハムストリングの柔軟性が大きく影響します。後ろへのグランバットマンでは、前ももの柔軟性と股関節前側の開きやすさが重要です。柔軟性が不足している状態で無理に脚を振り上げると、筋肉や腱を痛めるリスクが高まるため、段階的なストレッチで可動域を広げていくことが欠かせません。
体幹・腸腰筋・お尻の筋力不足
柔軟性が十分にあっても、筋力が足りないと脚は高く、かつコントロールして上げることができません。特に重要なのが、体幹(腹圧を含むコア)、股関節を引き上げる腸腰筋、支持脚側の中臀筋や深層筋です。
脚を振り上げる時、表面の太もも前の筋肉だけを頑張らせると、脚は重く、すぐに疲れてしまいます。内側から脚を吊り上げるような感覚を得るためには、腸腰筋のトレーニングが有効です。また、支持脚側のお尻周りの筋力が弱いと、バランスを崩して上半身がぐらつき、結果として脚が十分に上がりません。筋トレと柔軟性の両方をバランスよく鍛えることがポイントになります。
骨盤のポジションと姿勢の問題
骨盤のポジションが崩れていると、どれだけ柔軟性や筋力があっても、脚の高さは大きく制限されます。代表的な例が、脚を上げようとして腰を反らせ、骨盤が前傾しすぎるパターンです。この状態では、股関節の可動域を十分に使えず、また腰痛の原因にもなります。
理想的には、骨盤はニュートラルに近い状態で、下腹部を軽く引き込むようにしながら脚を上げます。横へのグランバットマンの場合も、骨盤が大きく傾いたり、上体が反対側へ崩れたりしないように注意が必要です。鏡の前で、脚を上げた瞬間に腰や骨盤の位置が変わっていないか確認し、必要であれば高さを少し抑えてでも、正しいポジションを優先して練習しましょう。
タイミングと呼吸、勢いに頼りすぎるクセ
グランバットマンが苦手な方には、音に置いていかれまいとして、勢いだけで脚を振り上げようとする傾向もよく見られます。この場合、脚は一瞬高く上がっても、軌道が乱れたり、下ろすタイミングが雑になったりして、全体として美しく見えません。
また、呼吸を止めて力んでしまうと、身体全体が固まり、余計に脚が上がりにくくなります。音をよく聞き、吸うタイミングと吐くタイミングを意識しながら、脚をコントロールして動かす練習が必要です。勢いではなく、筋力とタイミングのバランスで脚を運ぶことが、安定感と美しさにつながります。
足を高く上げるための基本のコツ
原因が整理できたところで、次に「どうすれば今より確実に脚が高く上がるのか」という具体的なコツを見ていきます。グランバットマンは、力任せではなく、体の使い方を理解しているかどうかで大きな差が出る動きです。
ここでは、姿勢、体幹の意識、脚の上げ方と下ろし方、そしてターンアウトの考え方など、すぐに意識できるポイントを中心に解説します。日々のレッスンで一つずつ試しながら、自分にとって効果の高いコツを体感していきましょう。
上半身を引き上げてから脚を動かす
脚を上げる前に、まず上半身をしっかりと引き上げることが重要です。頭のてっぺんから糸で吊られているような感覚で背骨を長く伸ばし、肩を下げ、首筋をすっきり保ちます。この引き上げがない状態で脚だけを動かそうとすると、体が沈み、脚の重さを支えきれません。
特に前へのグランバットマンでは、脚を上げる瞬間に上体が後ろに倒れやすいので、みぞおちから上を前に保つ意識を持つと安定しやすくなります。上半身が安定していればいるほど、脚は自由に、そして軽く動かせるようになります。
脚を振り上げるのではなく股関節から引き上げる
多くの初心者がやりがちなミスは、膝下や足先を「振り回す」ようにして脚を上げようとすることです。これでは筋肉の負担ばかり大きくなり、ラインも崩れてしまいます。理想的には、股関節から脚全体を「引き上げる」イメージを持ちます。
股関節の付け根を意識し、そこから脚が長く伸びているように感じながら動かすと、太もも前にだけ力が集中するのを防げます。また、上げる時だけでなく、下ろす時にも股関節からコントロールしていくことで、動き全体がなめらかでコントロールされた印象になります。
ターンアウトとの関係と無理をしないポイント
バレエではターンアウト(股関節から脚を外旋させること)が基本ですが、グランバットマンでターンアウトを意識しすぎると、膝や足首に負担をかける場合があります。特に柔軟性がまだ十分でない段階で、足先だけを外にひねってターンアウトを作ろうとするのは危険です。
重要なのは、股関節からできる範囲で自然なターンアウトを保ち、その範囲内で脚を上げることです。ジャズやコンテンポラリーでは、場合によってはターンイン(内向き)で脚を上げる振付もあるため、状況に応じて使い分けが必要です。どの場合も、足先より股関節を優先して考えることが、安全かつ美しい動きにつながります。
下ろし方まで意識してコントロールする
グランバットマンは「上げる」瞬間に意識が集中しがちですが、実は「下ろし方」こそ上達度が表れます。脚を振り上げた後、重力任せにストンと落としてしまうと、バーから体が離れたり、床を強く叩いてしまったりして、安定感も音楽性も損なわれます。
理想的には、上げる時と同じくらい丁寧に、コントロールしながら脚を下ろします。股関節から動かし、通過ポジション(例えば45度)を意識しながら戻すと、動きが格段に洗練されます。上げる高さを少し抑えてでも、下ろすまでを美しくコントロールする練習を優先することをおすすめします。
柔軟性を高めるストレッチとケア
グランバットマンの高さと美しさを支える基礎が柔軟性です。ただし、やみくもにストレッチを続けるだけでは、思うような成果が出ないことも少なくありません。重要なのは、どの筋肉や関節をどの方向に伸ばすのかを理解し、呼吸とリラックスを伴った安全な方法で行うことです。
ここでは、足が上がらない原因になりやすい部位にフォーカスし、レッスン前後に取り入れやすいストレッチとセルフケアの方法を紹介します。
股関節周りを緩めるストレッチ
股関節は脚の大きな動きの中心となる関節であり、ここが固いとグランバットマンの可動域が大きく制限されます。床に座り、両足の裏を合わせて膝を外側に開くバタフライストレッチや、片膝立ちの状態で前脚を曲げ、後ろ脚の股関節前側を伸ばすストレッチなどが有効です。
ストレッチ中は、呼吸を止めず、息を吐くたびに筋肉の緊張がほどけていく感覚を意識しましょう。痛みを我慢して無理に押し込むのではなく、「心地よい伸び」をキープすることが、長期的な柔軟性向上とケガ予防につながります。
ハムストリングと前もものバランスを整える
前へのグランバットマンにはハムストリングの柔軟性が欠かせません。床に座って片脚を前に伸ばし、もう一方の脚を曲げて内側に倒した状態で、上体を前に倒すストレッチは基本となります。この時、背中を丸めて手を無理に足先に近づけるより、背筋を伸ばしたまま骨盤から前に倒すことを意識しましょう。
一方、後ろへのグランバットマンには前ももの柔軟性も重要です。うつ伏せで片脚の足首をつかみ、かかとをお尻に近づけるストレッチなどを取り入れ、前後の筋肉のバランスを整えておくことで、脚の振り上げがスムーズになります。
安全に可動域を広げるための注意点
柔軟性を高めたいからといって、反動をつけたストレッチや、パートナーに強く押してもらうような方法は、筋肉や関節に負担をかけるリスクがあります。特に成長期の子どもや、久しぶりにダンスを再開した大人は、慎重なアプローチが必要です。
ストレッチは、原則として筋肉が温まっている状態で行う方が安全です。レッスン前は軽い有酸素運動やアイソレーションで体を温めてから、可動域を広げすぎない範囲で行います。レッスン後や入浴後は、筋肉が柔らかくなっているため、より深いストレッチがしやすくなりますが、それでも痛みを感じる手前で止めることが大切です。
セルフマッサージやボディケアの活用
ストレッチと併せて、筋肉をほぐすセルフマッサージやボディケアを取り入れると、柔軟性向上と疲労回復に役立ちます。特に、太もも前後、ふくらはぎ、お尻、腰回りは硬くなりやすい部分です。手のひらや指で筋肉をつかむようにほぐしたり、床に座ってテニスボールなどを使い、体重をかけてゆっくり圧をかける方法も有効です。
ケアの際も、呼吸を止めず、痛みが強すぎるポイントは避けながら行います。定期的なケアを行うことで、筋肉の張りを軽減し、ストレッチの効果を引き出しやすくなります。
筋力アップで「軽く高く」足を上げる
柔軟性を高めるだけでは、グランバットマンの高さと安定感は十分に得られません。脚を高く、軽く見せるには、体幹や股関節周りの筋力が不可欠です。特に、腸腰筋と呼ばれるインナーマッスルは、脚を引き上げる動きに直接関わります。
ここでは、自宅でも行いやすい筋力トレーニングを中心に、グランバットマンに直結する筋力アップの方法を紹介します。継続することで、レッスン中の疲れにくさや、脚のキレの良さにもつながります。
腸腰筋を鍛えるシンプルなトレーニング
腸腰筋は、背骨と大腿骨をつなぐ深層の筋肉で、脚を引き上げる動きの要です。仰向けで片脚をテーブルトップ(膝を90度に曲げ、太ももを床と垂直)に持ち上げ、そのままゆっくりと上下させるエクササイズは、腸腰筋をピンポイントで鍛えるのに役立ちます。
この時、腰が反らないように腹筋で床に押し付けるイメージを持つことが重要です。最初は回数を少なく設定し、慣れてきたら少しずつ増やしていきましょう。立った状態でのレッグレイズ(バーや壁につかまって、膝を伸ばしたまま脚を前方に上げる)も、実際のグランバットマンに近い形で腸腰筋を鍛えることができます。
支持脚とお尻を安定させるトレーニング
グランバットマンでは、上げる側の脚だけでなく、支持脚側のお尻(特に中臀筋)や太もも外側の筋力が、軸の安定に大きく影響します。横向きに寝て、上の脚を真横に持ち上げるサイドレッグリフトは、シンプルながら効果的なお尻トレーニングです。
また、片脚立ちでのスクワットや、ランジ系のエクササイズも、支持脚の強化に有効です。これらを継続することで、グランバットマンの際に体がぐらつきにくくなり、結果として脚の高さにも余裕が生まれます。
体幹トレーニングで軸を強くする
脚の高さを安定して保つには、体幹の強さが欠かせません。プランク(肘とつま先で体を支える姿勢)や、サイドプランク(横向きで体を支える)などの基本的な体幹トレーニングは、道具を使わずにどこでも行えるためおすすめです。
ポイントは、腰を反らせたり、お尻が落ちたりしないように、頭からかかとまでを一直線に保つことです。呼吸を止めず、腹部を軽く引き締める意識を持ちながら、短い時間から徐々にキープ時間を延ばしていくと、ダンス全体の安定感が向上します。
練習時の意識ポイントとよくある失敗
実際にレッスンでグランバットマンを行う際、どのような点に気を付ければ効率よく上達できるのでしょうか。ここでは、練習中に意識しておきたいポイントと、よくある失敗パターンを整理します。
失敗例を知っておくことで、自分の動きを客観的に見直す手がかりになります。先生から受けた注意の意味も理解しやすくなり、修正も早くなります。
バーでの基本練習とセンターへのつなげ方
バーでのグランバットマン練習では、まずは高さよりもフォームの正確さを優先します。バーに頼りすぎず、あくまで軽く触れている程度の支えとし、自力で体を引き上げる感覚を養います。前・横・後ろの順に行うコンビネーションが一般的ですが、それぞれで骨盤の位置や上半身の傾きが変わっていないか確認しましょう。
バーでの安定が得られてきたら、センターでの練習に移行します。センターでは、バランスと空間認識がより重要になるため、脚の高さを少し抑えた状態から始めても構いません。バランスよく体重移動ができるようになって初めて、舞台上でも実用的なグランバットマンになります。
よくあるNG例と修正方法
よく見られるNG例としては、腰を大きく反らせて脚の高さを稼ぐ、上体が脚と反対方向に倒れすぎる、脚を下ろすときに床を強く叩いてしまう、といったものがあります。これらはいずれも、身体への負担が大きく、美しさも損なわれます。
修正するには、まず高さを一段階下げ、腰と骨盤の位置を安定させることを優先します。上体が倒れやすい場合は、壁に背を向けて立ち、背中を軽くつけた状態で脚を上げる練習をすると、自分の癖を認識しやすくなります。床を叩いてしまう場合は、ゆっくりカウントを細かく取り、3カウントで上げて、3カウントで下ろすといったスローの練習を取り入れると、コントロール力が養われます。
音楽との合わせ方と表現面のポイント
グランバットマンはテクニックであると同時に、音楽表現の重要な要素でもあります。音より先走って脚を上げてしまったり、逆に遅れてしまうと、全体の印象がぼやけてしまいます。まずは、音楽のどのタイミングで脚が最も高くなるべきかを明確にし、その瞬間に向けて動きを計画的に組み立てます。
また、上げる瞬間の表情や上半身のムーブも、表現に大きな影響を与えます。クラシックな演目では品のある引き上げを、ジャズやコンテンポラリーではエッジの効いたアクセントやスイング感を意識するなど、作品や音楽に合わせた表現を考えることで、単なる「高い脚」から「説得力のある動き」へと昇華させることができます。
大人から始めた人・子どもの練習で気を付けること
ダンスを大人になってから始めた方や、成長期の子どもでは、身体の状態やリスクが異なります。そのため、グランバットマンの練習方法や負荷のかけ方も、それぞれに合わせた工夫が必要です。
ここでは、大人初心者と子ども・ジュニアダンサーの両方に向けて、安全に上達するためのポイントを解説します。
大人初心者が無理をしないための工夫
大人になってからダンスを始めた場合、筋肉や関節の柔軟性が子どもより低いことが多く、また回復にも時間がかかります。そのため、短期間で急激に柔軟性を上げようとするのは避けるべきです。グランバットマンでは、まずは腰より少し高い程度の高さを目標に、正しいフォームでコントロールできることを優先しましょう。
また、体調や疲労度によって可動域が変わることもあります。日によって無理をせず、体が重いと感じる日はストレッチや基礎練習中心にするなど、長期的な視点でトレーニングを組み立てることが大切です。
成長期の子どもにとっての注意点
成長期の子どもは、骨や関節がまだ発達途中であり、過度なストレッチや無理なターンアウトは将来の障害につながる可能性があります。グランバットマンの高さよりも、正しいポジションとバランス感覚を身につけることを優先し、痛みを訴える場合はすぐに負荷を下げる判断が必要です。
指導者や保護者は、子ども自身が「もっと高く上げたい」と感じる気持ちを尊重しつつも、安全第一の方針を徹底することが求められます。特に膝・腰・股関節の痛みには敏感になり、無理な練習が続いていないかをこまめにチェックしましょう。
年齢別に意識したいポイント比較
年齢によって重視すべきポイントは少しずつ異なります。以下の表は、ざっくりとした目安として参考にしてください。
| 年代 | 主な目的 | 重点ポイント |
|---|---|---|
| 子ども・ジュニア | 基礎づくりと安全 | 正しいポジション、無理のない可動域 |
| 10代後半〜20代 | テクニック向上 | 柔軟性と筋力の両立、高さとコントロール |
| 30代以降 | 持続可能な上達 | ケガ予防、体幹強化、丁寧なケア |
このように、自分の年代や体の状態を踏まえた上で目標設定を行うことで、無理なく継続しやすくなります。
ジャンル別・振付でのグランバットマン活用法
グランバットマンの技術は、クラシックバレエに限らず、ジャズダンス、コンテンポラリー、ハウスやロッキンなど、さまざまなジャンルに応用されています。それぞれのスタイルによって、使い方や見せ方、体の使い方のニュアンスが少しずつ異なります。
ここでは、代表的なジャンルごとに、グランバットマンの活用イメージや注意点を紹介します。
クラシックバレエでの厳密なフォーム
クラシックバレエでは、グランバットマンのフォームが特に厳密に求められます。脚のライン、ターンアウト、足先の美しさ、上半身の引き上げなど、全てが高い精度でコントロールされている必要があります。
前・横・後ろの各方向において、上体の傾きは最小限にとどめ、ポジションが崩れないことが重要です。舞台上では、音楽との一体感や役柄の表現も加わり、単なるテクニック以上の意味を持つ動きになります。
ジャズ・コンテンポラリーでのダイナミックな使い方
ジャズダンスやジャズコンテンポラリーでは、グランバットマンに近い動きが、曲の盛り上がりやアクセントとして頻繁に登場します。バレエに比べて骨盤の自由度が高く、上半身のムーブも大きく使うため、ダイナミックでエモーショナルな印象を与えられます。
ただし、ダイナミックさを追求するあまり、体幹や股関節の原則を無視してしまうと、ケガのリスクが高まります。バレエ的な基礎を土台にしつつ、スタイルに合わせて崩す、という意識が大切です。
ストリートダンスでのキックやライン作り
ヒップホップやハウス、ロッキンなどのストリートダンスでも、キックやラインを見せる動きとして、グランバットマンの要素が活用されています。特にロッキンやポップでは、音のアクセントに合わせたキックが重要な表現手段となります。
ストリートスタイルでは、膝をやや曲げてキックすることも多く、バレエのような完全なターンアウトは求められませんが、股関節から脚を動かす意識を持っているダンサーは、キックの軌道が美しく、ケガも少ない傾向があります。ジャンルに関わらず、基礎としてのグランバットマンを理解しておくことは、大きなアドバンテージになります。
まとめ
グランバットマンは、単に「足を高く上げる」ための練習ではなく、ダンサーとしての基礎力を総合的に高める重要なテクニックです。意味と目的を理解し、正しいフォームと体の使い方を身につけることで、脚の高さだけでなく、動き全体の安定感と美しさが向上します。
足が上がらない原因は、柔軟性不足、筋力不足、骨盤や姿勢の問題、呼吸やタイミングなど、さまざまな要素が絡み合っています。一つずつ原因を見極め、ストレッチと筋トレ、そして日々のレッスンの中での意識改革を組み合わせることで、少しずつ、しかし確実に変化が現れます。
大人から始めた方も、子ども・ジュニアダンサーも、自分のペースと身体の状態を大切にしながら、焦らず継続していくことが何より大切です。グランバットマンの上達は、他の多くのテクニックにも良い影響を与え、踊り全体のクオリティを押し上げてくれます。今日からできるコツを一つずつ取り入れ、自分史上最も美しい脚線とキレのある動きを目指して練習していきましょう。
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